バンブー教室:バンブーだより9月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3

2026年9月25日

3、次期学習指導要領の素案でわかる今後の「多様化」における対応について

文部科学省は2026年6月17日、次期学習指導要領を検討する中教審作業部会で、不登校の児童生徒に個別の学習計画を作成して学びを支援する新制度である「不登校児童生徒に係る特別の教育課程の個別の指導計画の方向性について」のまとめ案を示しました。これは、不登校支援の考え方を大きく転換する可能性を持つ提言と言えます。従来は「学校に戻すこと」が支援の中心になりがちでしたが、「学校に登校できない子どもたちにもその子に合った教育を保障する」という考え方を制度として位置付けようとするものなのです。

今回の提言の最大のポイントは、1人ひとりの不登校児童生徒に対し、「個別の指導計画」を作成し、その生徒に応じた教育課程を組めるようにするということです。学習内容の定着に不安がある子どもたちが、学年をまたいで必要な内容を学び直せる柔軟な教育課程が重要な論点になっています。文科省の検討資料には、学習内容の定着に課題がある場合、「学年や学年階段を超え、定着に課題のある単元の学び直し」を可能にすることが検討事項に明記されています。

「学年や学年階段を超え、定着に課題のある単元の学び直し」とは、単純に学年のカリキュラムを遡ればいい訳ではありません。問題行動が不登校だけであるなら、学習履歴のどこに空白があるのかを確認して必要なところまで戻って学習し、できるようになったら先に進むという塾でもよく行われている一般的な遡り学習で効果が出るでしょう。しかし、発達特性のあるお子様の二次的な問題として不登校があるようなら、認知発達の凸凹が学力の遅れに起因しています。今回の提言の目標の一つにあるように「主体的に学びに向かう力を育む」には、「学び直し」によって「わかる」「できる」が増えることで学習意欲につながることを意図していると考えます。そのためには、個別の支援計画や指導計画の作成とそのためのアセスメントが必須になるのです。在籍学年より下の学年の内容を学び直した場合でも、成績を評価する特例を設けて学習への向き合い方を重視し、不登校児童生徒の「学び直し」を下学年内容でも柔軟に成績評価できるようにする方向性で中教審の作業部会(不登校WG・総則・評価特別部会等)が制度設計を進めています。成果だけではなく、学びの過程も評価の対象にすることが大きなポイントです。学習の遅れがある児童生徒に対して、つまずいている課題が在籍学年より下の学年内容であって、それを学び直すスモールステップでのカリキュラムを組む場合、特例的な仕組みにより児童生徒の実態や学習状況に応じて成績評価の対象とすることが可能になります。

現行制度では、下学年の内容を勉強しても、在籍学年のカリキュラムに沿った評価しかできません。国語や算数・数学のような系統的な学習を必要としている教科は、当然在籍学年のカリキュラムは理解できず、在籍学年のカリキュラムを理解するためには、下学年の内容の学習が必須になります。現行の制度の評価では、系統的な学習の分断が学習意欲の低下につながるという指摘が中教審作業部会でありました。新制度は、休み始めや校内外の教育支援施設で学習に取り組む回復期の小中学生を対象に想定しています。学校が本人の意向や心身の状態を踏まえ、個別の学習計画を適用するかを判断します。学習内容は、下学年の学び直しやオンラインでの授業参加の他、各自の関心を深める勉強やコミュニケーション能力を育てる活動を想定しています。評価は、特例的に「5」や「4」なども付けられるようにする。数字ではなく文章で記す方法も採り入れる。将来的に高校入試での判断材料にすることも目指すとしています。その後、8月31日に文部科学省の中央教育審議会の特別部会でも上記に内容も含めたこれまで議論をまとめた改訂方針の素案が示しました。そこにも小中学校で、不登校の生徒児童に個別の指導計画を作ることができる制度を新設することが明記されています。

また、学校の裁量を高めて時間割を柔軟に組めるようにする「調節授業時間割制度」を導入するとのことです。この「調節授業時間割制度」によって「多様化」における対応が期待され、様々な障害や認知特性がある生徒、外国人生徒の増加によって教室にいる全生徒に対して同じ教科や内容を実施することができない現状を踏まえ、個々にあった学習をする時間を増やし、対応することができるような体制を整えるとのことです。そして「学び直し」の際に算数・数学や国語など小学校から系統的な学習が必要な教科の場合、従来の学習指導要領を踏まえた教科書での学習では、未学習分野があると学習意欲が分断され、学習無気力が生じてしまう。そのため未習得事項を効果的に学び直すプログラムや学習方策及びメタ認知等を活用した体系的な指導、総合的な学習時間等で設定した教科に関する個人の探求課題、個々の認知特性に応じた個別指導、学習カウンセリングを実施するために「調節授業時間割制度」を活用するとしています。

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