中学部:中学部通信4月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3

2025年4月22日

2,学習無気力の原因

知的には目立った問題がないような子どもたちが、勉強につまずく学年は小学校3年生くらいからなのは、教科書の内容もありますが、国語の文章も含めて教科書に書かれている文章量や語彙も含めた文章の構成に複雑さが出てくるからです。他の教科も例外ではありません。

授業に関しても、このように「読む、書く」の困難さを持ち合わせている人や、講義形式で大勢の人に向かって話している先生の話を聞くことの困難さを持ち合わせている人は、継次処理が求められる講義形式の授業の参加自体に苦手さがあるのです。物事をわかりやすく聴覚的な手がかりや視覚的な手がかりを取り入れながら順序を踏まえて伝え考え、理解に結び付けることで、それを応用した発展的な処理を可能にするクラスでの授業形式は、継次処理的なアプローチと言えると思います。継次処理は上記のようなつまずきを持った子どもたちには、学年が上がり、授業レベルが上がると自分の力だけでは処理できなくなります。

そのことのSOSが落ち着きのなさや離席、おしゃべりなどの多動性、衝動性になって現れてきます。先生にそのSOSを授業妨害として厳しく注意されることで学習意欲が喪失し、発達障害傾向の子どもたちは一度失ったやる気は元に戻らないのです。そしてクラスに居場所を無くし自己肯定感も低くなってしまいます。学習無気力の子どもたちや情緒が混乱して不安を抱えている子どもたちの原因の一つは、このようなことにもあるのです。子どもたちがやる気を出すには、このような見えない彼らの学習のつまずきに気づき、学習におけるつまずきのある子どもの得意な「わかり方」を大人が把握することが大切だと思います。教える側の大人が、子どもたちのなぜわからないかが理解できれば、理解できるような教え方や教材、プリントなどを利用した授業を彼らのつまずきに合った学習課題で提供することができます。そのような指導が実行できれば、かならず興味をもって取り組むことができるようになるでしょう。そのなかにできることが少しずつ増えてくはずです。子どもが学ぶ楽しさや、達成感をたくさん経験することが大切になります。

そして、最後は親や教員が勉強を押し付けるのではなく、子どもが自分に合った「学び方」を身につけて自分の意志で主体的に学習する習慣をつけることが、子どもたちの学習意欲を上げる唯一の近道なのです。そして、このことは自分で判断し、自分の意志でやってはいけないことややるべきこと物事の善悪を判断できる大人に成長することへ繋がっていくのです。

(※コラムに掲載されたものを一部抜粋しております。)

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