中学部:中学部通信8月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-6(2)

2026年8月13日

そのようなお子様の中には、視空間の能力は高く、流動性推理の能力は視空間に比べると苦手でそれらの能力に発達の凸凹があるお子様が意外と多いように思います。算数の文章問題が苦手なお子様はそのような傾向があるようです。視空間とは視覚を通じて認識させる主観的空間や目から得た情報を基に「形・向き・位置・距離」などを頭の中で把握・処理する能力の指標です。視空間が苦手なお子様は対象の大きさや形状、遠近感、平面や奥行き、物との関係性を把握する能力を指し、大人であるなら地図の理解や車のバック駐車、スポーツでの距離感の把握、児童生徒ならば跳び箱の苦手な人などが該当します。算数だと図形問題が得意な人で、模型などの組み立てなども得意です。またマス目から字がはみ出しだしたりする人や板書の書き写しなど苦手な人たちの特性にも深く関わってきます。

板書をノートに取ることに苦手さはなく、漢字も書き順で覚えられ「トメ、ハネ」も注意ができるのに算数の文章題や図形なども問題が全くできない人は流動性推理の能力が弱い人が該当するでしょう。目で見た情報を手がかりに、パターンやルールをその関連性から見つけ出し、目の前の課題の解決方法を考えることができない人です。流動性推理の能力はWISC-Ⅴなどでは「抽象的に考える力」「理論的に考える力」「関連性を見つける力」の指標になります。社会に出て職場で求められる問題解決能力や自己決定力に直結する能力だと思います。

算数の苦手さの原因になっている「基数性」「序数性」の理解は、WISC-Ⅴの主要な指標である「視空間」や「流動性推理」からも推察できる認知発達の凸凹に関係していてワーキングメモリの弱さと関連していると考えるのが妥当です。

文章問題の苦手さは語彙力の低さにあることが、今井むつみ先生の「学力喪失」にも指摘されています。問題文に書かれていないことを式に反映することができないとの記述があります。お菓子の量の問題として「250g入りのお菓子が30%増量して売られるそうです。お菓子の量は、何gになりますか。」では、問題文の30%を変換した0.3に1.3をかけることを思いつくことができない。そこにある数字を機械的に足したり、引いたり、かけたり、割ったりして計算して答えを出す程度にしか考えていないことがある。との記述があります。具体例として250を0.3でかけてしまう誤答や0.3で割ってしまう誤答があるとのことです。このようなお子様は通常学級でも多くみられます。

お問い合わせはこちら