中学部:中学部通信8月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-2

2026年8月8日

2,不登校生に対する自然学園における考え方

不登校に対する考え方は「学校に戻すべき」という問題解決型から、「多様な学びの選択肢を尊重する」方向へと大きく変化しています。現在では、心身を休める期間(エネルギーの充電)を経て、通信制高校やフリースクールなど自分に合った居場所や学校以外の学びの場を選ぶことが主流になりつつあります。

この方向転換からも分かるように、現在の考え方では、不登校は「問題行動」ではなく、心身のエネルギーが枯渇して休養を必要としているサインだとしています。まずは「学校に行く・行かない」という結果にとらわれず、子どもが自分らしく社会的に自立するためのプロセスだと捉え直すことが大切だとされています。

現代の不登校に対する基本的な考え方は、以下の3つのポイントに整理されています。まず1つ目は、問題行動ではないとしていることです。不登校は怠けや甘えではなく、誰にでも起こり得る心身の防衛反応なのです。2つ目は、休養とエネルギーの補充です。まずは焦らず、心と体を休めるための「エネルギー補充期」が必要なのです。3つ目は、学校へ復帰することだけを目標にするのではなく、精神的・経済的な自立を目指し、社会的自立をゴールにすることです。以前は「全日制の学校に毎日通うこと」が絶対的な前提とされていましたが、現在はフリースクールや通信制高校、オンライン学習などを活用し、「学校以外の場所で学ぶこと」が社会的に広く認められるようになりました。

不登校は個人の適応不足ではなく、複雑化する社会環境や人間関係、学校教育のシステム自体が時代に合わなくなってきていることが背景にあると考える専門家が増えています。行政も、特定の学年に縛られない柔軟な学習評価や学び直しの支援へと舵を切っています。
このことから、不登校になると今までは、まず学校復帰を視野に入れた取り組みを学校自体が躍起になっていましたが、多様な学びや進路選択ができる社会に変化していく中で、学校教育のシステム自体が問題であり、不登校が個人的な問題ではなく、社会構造の変化における現象であるとの考え方が主流になっています。

文部科学省で発表しているガイドラインでは、不登校からの段階ごとにおける回復モデルを紹介しています。一般的に多くの見解として共通しているのは、子どもの状態や気持ちに合わせて初期、本格期、安定期、始動期の「4つの回復の段階」が存在するというものです。
始動期では自発的に外出し、フリースクールや別室登校などの社会との接点を模索し始めます。通信制高校に進学した人は、中学3年生を前にした時期に様々な迷い、悩みを抱えながら始動期からもう一段乗り越え、高校生になった人たちであり、始動期後は5段階目の登校再開、社会復帰の時期と言われています。

始動期の後半には「やっと学校に行けた!」「不登校が治ったんだ」と嬉しくなるような時期ですが、毎日学校に行けるわけではありません。「月曜~金曜までフルで学校に行けるほどのエネルギーは溜まっていない」と考えることが何よりも大切です。この時期を不安定活動期と言い、リハビリ期間として考える時期でもあります。また、この期間は中学校を卒業して高校生になってもしばらく継続します。学校へ行ったり行かなかったりを繰り返す時期とも言えます。

この時期の対応として、学校としては個人の決断を尊重しながらも決して負担をかけず、本人が掲げた目標を見守り、無理をしないように本人のペースを守りながら、スモールステップで進ませることをコントロールする責任があると思っています。
フリースクールとしての自然学園を選んでいただいたということは、小学校時代に大勢の集団の中での適応がうまくいかなかった経験が少なからずあった生徒の皆さんであると思っています。新入生の皆さんは、人とのコミュニケーションを苦手とする人が多いと思います。いじめを経験したり、不登校を経験したり、学校生活自体にいい思い出がない人も少なくないと思います。また、勉強が苦手な人もいることでしょう。

今年の4月に自然学園の中学部に入学した生徒にも、この時期の状況に該当する生徒は、多く見られます。生徒の状況を配慮しながら無理なく、登校復帰できるようなプランニングを考えていきます。

自然学園では、3段階のプロセスを踏まえ、徐々に登校に慣れ、学習への取り組みを学び、クラスに馴染めるアプローチを実践しています。無理なく登校できるような登校日数や時間数をプランニングし、実践を進めます。また、プラン通りに進められない場合には、バンブー教室を併用し、自分のペースで行える学習パターンを定着させていきます。順調に実行できている場合には、第2段階の登校の継続を目標に、通常コースの時間割でトライ&エラーを繰り返し、クラスに居場所をつくるように努めていきます。高校進学も視野に入れて、登校を通常登校にシフトし、生徒にとって負担の大きい課題は配慮を求め、登校復帰を徐々に再開させていくことがスモールステップとなります。

新入生の皆さんがこのクラスに居場所を見つけたとき、はじめて人と繫がる力が育まれ、社会性が育っていくのです。社会性とは、みんなと仲良くできる力です。最初に苦手だと思う人にも皆さんから話しかけることができる力です。また、苦手だと思うことにも積極的に取り組む勇気を持てる人です。運動が苦手な人、手先が器用な人、人との距離感がうまくつかめずクラスメートとトラブルが多かった人などいろんな苦手さをもって自然学園中学部に入学してくれました。皆さんが置かれたこの場所が、皆さんにとって最も居心地の良い場所に必ずなるでしょう。上級生は、暖かく皆さんを受け入れてくれるはずです。そんな居場所が自己肯定感を育み、クラスの絆が生まれ、ソーシャルスキルが向上していくのです。そして苦手な勉強も意欲的に取り組めるようになるはずです。

そして、目標に到達する学力やスキルを獲得するためにも、スモールステップでの行程で計画を立てていけばいいのです。それを実行するのはまさしく「いま」「これから」なのです。

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