大学部:大学部通信 新学期特集号-1(2)
2026年9月13日
このような現状を踏まえて文科省が令和3年に新時代に対応した高等学校教育に関する制度改革を発表しました。令和3年1月に「新時代に対応した高校改革推進計画」が中央教育審議会答申に置いて提言されました。令和5年2月には通信制高校の改革として通信教育の質保証図るための制度改革に重点が置かれています。その中で多様な生徒のためのきめ細やかな対応が提言されています。
そのなかで高等学校通信教育の質保証に向けた方策が提言され、高等学校通信制教育の規定の一部の改訂等が含まれています。通信制高校に関する項目としては「多様な生徒へのきめ細やかな対応」が組み入れられていて、例えば「学校に在籍しながら履修登録しているにも関わらず、添削課題の取り組みや面接指導への参加が困難な生徒に対しては、個々の実情に応じ、適切な支援を行うよう努めることが重要であるところ、例えば生徒や保護者等への面談や電話かけ等の対応が考えられることを明確化したこと」など記載から在籍生徒の実態・実情を受け容れたきめ細やかな対応を行う義務を明示したものと考えています。具体的には学び直しなども含めて生徒に応じた基準を設けて単位を認定する柔軟な対応が求められていくものと考えられます。令和8年2月に『高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)~NEXTハイスクール構想~』が打ち出され、「生徒の実態を踏まえた柔軟な教育カリキュラムの実現」、「多様化するニーズに対応する通信制高校に関する教育の質の確保」、「調整授業時数制度の導入の検討」など上記に記した通信制高校の改革の具体的な方針が示してあります。
文部科学省では学校で学ぶ大まかな内容を指導要領で定め、およそ10年に1度改訂してきました。2030年度から始まる次の指導要領について文部科学省が8月31日に中央審議会の特別部会でこれまでの意見をまとめた改訂方針の素案を示しました。学習指導要領の改訂のポイントとして標準の授業時間は変わらない一方、学校の裁量を高めて時間割を柔軟に組めるようにする新たに「調整時間時数制度」を導入すると発表しました。また週1回、1年間の授業時間で1単位としていた高校の単位認定を柔軟化し複数科目を組み合わせた授業の新設も可能にしました。その背景には様々な障害や認知特性を持った子ども、外国人児童生徒が増えたことなどの「多様化」が背景にあります。
通常級で特別支援教育を必要としている生徒や、特別支援学級に在籍しているADHDや(S)LDなど、診断のある生徒のほとんどの生徒は学力的には今までの高等学校の学習指導要領が求める学力に到達できないでしょう。そうであるなら、高校に進学するための大きな課題は学力に対する配慮と単位の認定の合理的な融和が必要になってきます。たとえば算数・数学などの主要教科の場合、小学校からの系統的な学習が必要で、下学年の未習得事項を効果的に学び直すプログラム 、学習方略やメタ認知等に関する体系的指導、総合的な学習の時間等で 設定した算数・数学に関する個人探究課題など、個々の生徒のニーズや認知の特性に応じた個別指導や学習カウンセリングなどが「調整時間時数制度」を活用が必要になるでしょう。
特別支援教育を必要としている一人、ひとりの生徒のニーズや特徴を理解した支援計画を実践し、就労に結び付けていく就職指導での社会参加の実現が最も大きな課題だと思います。特別支援教育を必要とする発達障害傾向の生徒の本質を理解して、個々のニーズや進路に対応し指導ができる高校が実在しないのが現状だと思います。
2018年4月1日から通級が制度化されようやく高校での特別支援教育が見直されましたが現状で期待されたような実践はできていないように思います。2015年に高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育モデル事業開始され、自治体でモデル校にしてされた高校は学校設定教科として「ソーシャルスキルトレーニンング」や「自立活動(ライフスキルトレーニング)」や「ソーシャススタディー」、生活向上のための「コミュニケーション」などと称された教科を導入して、彼らの将来的な自立を念頭に置いたSSTを実践する方向性が示されていました。
このような取り組みは高等学校の特別支援教育は、神経発達症(発達障害)がある高校生にとって企業就労に必要なスキルがソーシャルスキルだと位置付けているからに他なりません。働くためにどうしても必要とされるスキルとしてSSTとして学んでいくのです。
では彼らに求められるソーシャルスキルとはなんでしょうか。私は企業の方々への実習のご依頼や卒業生が就職した企業への定着支援などを通して採用の基準として各採用担当者からお伺いする機会が多いのですが、どの企業も「勤怠」「情緒の安定」「コミュニケーション」に集約されるように思います。
現在の高校改革や指導要領の改正前の通信制高校の現状としては、上記の不登校や特別支援教育を必要としている生徒が入学しても学習意欲を持って学校生活の取り組めているかと言えば現状としてはほど遠いと言わざる得なく、何とか卒業できたとしても進路の未決定者が31%もいることが現状です。就職もできず、神経発達症や不登校を経験していて社会的なスキルが未学習である生徒が学校にも社会にも適応できないまま放り出されてしまう事実を無視できません。大学や就職がその先できたとしても長続きせず2次的な障害や他の精神疾患を抱えたまま長い間引きこもりなどを経験している人たちも少なくありません。自然学園大学部はそんな人たちのための職業訓練センターや就労移行事業所では学ぶことのできない社会適応性を育む学校なのです。





