[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~⑥-2
2017年6月15日
学習性無気力の状態とは、漢字の習得ができないと一方的に叱責されたり、できないことを無理やりやらされたりして、その外的苦痛から逃れることができないときに生まれる未学習です。未学習とは苦手なことから意識的、無意識的に逃れようとして、経験し習得しなければいけない学習を身に付けることのできない状況を指します。
彼らのモチベーションを上げることは、この著書に書いてある通り『「自分で実行できる量の練習や努力によって、改善が得られるのだ。」と分からせてあげること、「できた、できた、やればできた、ほめられた」という経験こそが、やる気や意欲につながり、苦手だった課題が対処すべき課題になり、運動やあそびの意欲にもつながっていく』との考えはまさしくその通りだと思っています。
また冒頭に書かせていただいた中1ギャップや「五月病」に関しても、この本に書かれている事例が、このような状況に陥りやすい代表的な子どもたちの様子として説明しているので、要約して紹介します。
『聴覚認知の弱さをもったAちゃんにBちゃんが話しかけます。「Aちゃん、遊ぼう」Aちゃんは聴覚認知が弱いことで、すぐに反応ができません。Aちゃんが知らんぷりしているのでBちゃんは、ほかにあそび相手を探しに行ってしまうのです。辛く切ない思いを重ねていく中で、自信がなく不安を抱きその不安が増大化してしまうのです。』
それ以外にも「外に出なさい」と指示されたことに、反応できず教室内でうろうろしているAちゃんに先生が厳しく怒ったことで彼の不安が増大化していきます。
発達障害がある子どもたちの不安はこのような環境のなかで増大し、それが緊張につながり不登校に結びついてきます。
外に出られないAちゃんに対して、この著書では、「おそと」と黒板に書いてあげるか、外を示す絵か写真をみせる視覚支援があれば不安の増大化は防げると言っています。