高等部:高等部通信10月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-6
2024年11月5日
6、第19回自然学園定期講演会のお知らせ
「『問題行動を怒らず、減らす ほめれば変わる』
~発達障害がある子どもたちに効果的なソーシャルスキルトレーニング~」
講演者 星槎大学副学長 西永堅
自然学園では、発達につまずきのある子どもたちの理解を深めてもらう機会として、発達障害がある子どもたちの保護者の方々を対象にした定期講演会を開催しています。令和6年度は9月と12月に開催を予定しています。9月は、9月1日(日)に、昨年度に引き続き好評だった松為信雄先生に「『発達障害者の人が企業で働き続けるには』~求められる価値観とスキル~」をテーマにした講演をしていただきました。12月1日(日)は星槎大学副学長である西永堅先生から「『問題行動を怒らず、減らす ほめれば変わる』~発達障害がある子どもたちに効果的なソーシャルスキルトレーニング~」をテーマにした講演会を開催させていただく予定です。
今回の定期講演会で講演をご依頼した西永堅先生は星槎大学共生科学部・星槎大学大学院教育研究科教授です。自然学園高等部が教育連携している星槎国際高等学校を運営している学校法人国際学園が母体の大学、大学院の副学長を務められている先生なのですが、講演の依頼をさせていただいたきっかけは『子どもの発達障害とソーシャルスキルトレーニングのコツがわかる本』を拝読させていただいたことでした。その後、同じ星槎グループの副学長の著作だということを知り驚きました。そしてすぐに連絡させていただき今回の講演会の講演を快諾してもらいました。
西永先生は大学・大学院でポーテージプログラムを研究されていたそうです。ポーテージプログラムは、アメリカのウィスコンシン州のポーテージで開発された0歳児からを対象にした早期教育プログラムです。応用行動分析を日本に導入したプログラムの一つで、1983年に「日本版ポーテージ乳幼児教育プログラム」として日本で作成されました。
応用行動分析は「日常生活の中で起こる行動を取り上げその行動がどんなきっかけ(出来事・刺激)で起こり、その行動に周囲の人たちがどのように対応しているかを調べることによって、その行動がいつ起こるかを予想したり、起こる行動を制御する働きかけを行ったり」します。つまり応用行動分析は個人と環境の相互作用の結果、行動が出現すると考えます。
応用行動分析ではABA分析と呼ばれる分析が基本になります。これは、子どもの行動を三段階(状況→行動→結果)に分け、それぞれの行動がどのような状況で起きたかということまでさかのぼって、どうすればより良い行動に変えていけるか、その対処法を考えていく手法です。応用行動分析では「問題行動」とは適切な行動の未学習か、不適切な行動の誤学習と考えます。子どもたちに無理な課題を出すことが誤学習の原因になると考えられるので、誤学習させない学びが重要になります。そして私たちの役割は子どもの適切な行動を増やすことなので、適切な行動が見られたときは積極的にほめていくことが大切です。
保護者や養育者の皆さんが直面している、発達障害がある子どもたちの問題行動を適切な行動に変えていくための具体的なSST(ソーシャルスキルトレーニング)をご紹介していただきながら、このような考え方に基づくお子様との向き合い方や関わり方をお話しいただく予定です。
ポーテージプログラムは、家庭を中心としたプログラムであり、お子様を直接指導するのは親である家族全体だとの考えであり、あくまでも専門家はポーテージ相談員として、家庭や親の相談に乗ることが役割であり、親自身が子どもに対して課題を進めるプログラムであるとしています。親へのカウンセリングにも時間をかけているプログラムだそうです。
お子様の問題行動でお悩みになっている保護者の皆様方にとって、その解決の糸口が見出せる講演会になれば幸いです。