高等部:高等部通信2月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-1

2025年4月3日

2学期終業式学園長挨拶

休校明けに、2学期を締めくくる終業式を実施しました。私が皆様にどんな話をしたかまとめたので、話を聞き逃した人も読んで思い起こしてみてください。

今年は岸田信雄内閣総理大臣が辞任して、衆議院選挙が行われました。衆議院選挙を受けて特別国会が召集され、内閣総理大臣指名選挙が行われました。1回の投票では決着がつかず、1位の自民党の石破総理大臣と、2位の立憲民主党の野田佳彦代表の決選投票の結果、石破茂内閣総理大臣が再選されました。

アメリカでも大統領選挙が行われ、共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のカマラ・ハリス氏を破りアメリカ大統領に返り咲きました。

衆議院選挙の結果、与野党の拮抗により国民の世論が反映しやすい国会の論争が期待できるようになりました。透明性の高い政党運営が期待され、政治改革が国会の争点になっています。

民主主義ということは「主権」が国民にあるということです。「主権」というのは、国の在り方を決め、それを実行できる力のことです。日本では国会で国の政治の進め方や法律を決めたりするための代表者を国民が選挙で選びます。国民から選出された国会議員を選ぶための民法が改正され、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わりました。

2022年4月1日時点で18歳、19歳の方は2022年4月1日に成人となりました。ただ、2022年4月1日以降に18歳になる方(2004年4月2日以降に生まれた方)は、18歳の誕生日から成人となります。それでは、成年に達すると、未成年のときと何が変わるのでしょうか。

民法が定めている成年年齢は、「一人で契約をすることができる年齢」という意味と、「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味があります。つまり、成年に達すると、親の同意を得なくても自分の意思で様々な契約ができるようになるということです。

例えば、携帯電話を契約する、一人暮らしの部屋を借りる、クレジットカードをつくる、高額な商品を購入したときにローンを組むといったとき、未成年の場合は親の同意が必要です。しかし、成年に達すると、親の同意がなくても、こうした契約が自分一人でできるようになります。また、親権に服さなくなるため、自分の住む場所、進学や就職などの進路なども自分の意思で決定できるようになります。さらに、10年有効のパスポートを取得したり、公認会計士や司法書士、行政書士などの資格を取得したりすることもできるようになります。

このことで何が皆さんに問われてくるかというと、皆さんが18歳の成人になってからの決断には責任が伴ってくるということです。だからこそ親の同意がなくても、進路も含め自分の意思でその決定ができるのです。

ですが、今まで親に何でも大切なことを決めてもらっていた人は、自分で意思を決定することができなくなります。よく思春期はアイデンティティーを確立するのに重要な期間であると言われています。アイデンティティーの確立とは、自分が自分であること、そしてその自分が他者や社会から認められているという感覚の確立のことで、アイデンティティーを理解することで自己の特性や違いを認識し、それを受け容れることができるのです。自分らしさを持ちつつ周囲にも認められることで、過去の失敗や挫折を含め自分を許し受け容れ、社会の中に自分を位置づけることができるのです。この時期は自分の価値観を持ち、将来どのような方向に向かうべきか思い悩む時期でもあるのです。

このような時期を親の価値観に縛られ、親に依存して自分で将来の決定ができない人は、発達の歪みが生じ、いつまで経っても自立できない大人になってしまうのです。乳幼児期に特定の養育者(母親・父親など)との愛着の形成がうまくいかずに問題を抱えている愛着障害の人の特色として、自己肯定感が低く自己決定ができないことが挙げられます。また、自分が決定した進路も現実的ではない進路を選んでしまう傾向があります。

自然学園の生徒の皆さんの中には、いつも自分に自信がなく不安が強い生徒が多いので、経験を積むことを回避して、現実的な自分の課題から目を背け、憧れや興味に心が奪われてしまう傾向がある人がいます。思い込みだけで選択した進路が長く続くわけがありません。

先日、高等部2年生の皆さん方は保護者と一緒に進路説明会に参加してもらいました。進路説明会の冒頭で、高等部2年生の皆さんにはこれから進路を決定していく際の注意点として現実的な進路選択をお願いしました。大切なことは、選択するための情報をなるべく多くして広い視野で自分の進路を考えることです。そのためには自分で経験して感じた情報が自分にとって信用できる情報になるでしょう。進路説明会で聞いたことを自分なりに整理して実行に移し、自分の考えで進路を決定してください。

高等部3年生は、1月の卒業試験(卒業単位認定試験)を控えています。また高等部1、2年生も1月末の学力考査(後期試験)を控えているので、体調に気を付けて冬休みを過ごしましょう。』(一部抜粋 要約)

(※コラムに掲載されたものを一部抜粋しております。)

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