高等部:高等部通信3月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-5
2026年3月14日
5、3年生との懇談会
卒業にあたって、卒業生数名に、高等部入学前、つまりちょうど3年前の心境はどうだったかを聞きました。どの生徒も不安であったと口にしていました。ある生徒は中学校時代から不安が強く、人間関係でのトラブルも度々あったようです。周囲の人を巻き込むような一方的なコミュニケーションをとってしまい、それに対して周りがどのように感じているのか気付けなかったことで、自分が期待しているような人間関係が構築できなかったようです。不安や心配が強くなればなるほど、一方的に話しかけてしまい反感を買うことが多くなり、そのような彼女の行為を厳しく叱られてしまい、突き放されたように感じたことが不登校になったきっかけだったようです。入学してすぐには前述したような高1クライシスから心身の不調が強くなり、すぐに不登校が継続してしまいました。不安になればなるほど、人の気持ちを考えない空気の読めない傲慢で一方的な態度は治らず悪化しているようでした。そのことが改善したのはそれまでとは違う周りのクラスメートの反応でした。彼女の態度を嫌がらずに話を聞いてくれる生徒が多くいたことが、周りの状況を考えて行動する視野を広げ、深く物事を考えるきっかけになったようでした。2年生からの担任も彼女と適度な距離を保ちながら辛抱強く彼女のわがままに付き合い見守る姿勢を変えませんでした。高校3年生となり卒業を目前とした現在、自分の欠点がわかるようになったようです。あの時は自分の問題で人間関係がうまくいかなかったことなどを悔やんでいる発言を多く聞きました。社会に適応できる第一歩は自己理解です。そのような発言に私は感動で言葉を失いました。知らない間に大人になるための大きな一歩を踏み出したように思えました。
また、ある生徒はとてもADHDが強い生徒でした。ADHDの強みとして、創造性、エネルギッシュな行動力、素早い問題解決能力が挙げられます。ADHDの人は発想力が豊かで、新しいアイデアを次々と生み出す能力があり、マーケティングやデザイン業務で革新的な提案を行うことができます。クリエイティブな領域で才能を発揮する人にはADHDを持つ人が多くいます。そして、高い言語力がある人も多く、周りから見ると統率力があるように見えます。運動ができる人も少なくないのです。しかし、物事を深く考えて行動するタイプではなく、興味と気の向くままの衝動性が特性です。その行動は周りと明らかに異質な行動で、集団行動は不向きなタイプが多いのです。彼もまさしくそのような特性が見られました。時にはその行動が反抗的な行動として周囲からはカッコよく映ることもあります。そのため、クラスメートの中には意味もなく彼の突発的な衝動に付き合う人もいて、規則を守らない危険な行動を周りにそそのかしているように思われる損な役回りの誤解されがちなキャラクターで憎めない生徒です。そんな生徒ですが、周りの生徒のことはよく観察していて相手の良いところを認めることができる非常に優しい側面もあるのです。今考えると、彼のそのような特性のおかげで、クラス内で問題が起こったときにうまくクラスをまとめられ、大きな問題にならず、また、特定の生徒を悪者にせずクラスの輪が保てたと思っています。
これらはほんの一例です。このような生徒たちがいることで3年生の皆さんがお互いに認め合い、一人ひとりの良いところを理解し、できないところやつまずきの特性を補い合うことで、それぞれの居場所がある良いクラスになったと思います。そのようなクラスの雰囲気が生徒の個々の自己理解にもつながっているのだと思えました。





