高等部:高等部通信4月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-2
2025年4月13日
3,統計から読み取る高校生の不登校といじめの関連性\
高等学校における不登校の理由としては、本人に係わる状況だと「いじめをのぞく友人をめぐる問題」が最も多く、「入学、転編入学、進級時不適応」が次に多く「学力不振」と続きます。本人に関わる状況だと「生活のリズムの乱れ・あそび・非行」が最も多くなっています。
このことに関連して考えると高等学校におけるいじめの理由として小中学校同様、に多い「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」と不登校の理由として最も多い「いじめをのぞく友人をめぐる問題」は非常に関連性が強いと考えられます。さらに言えば友人とのトラブルでの「からかい」や「嫌なことを言われる」状況は「パソコンや携帯電話等で、誹謗・中傷や嫌なことをされる」とされるいじめの原因にもつながり、SNSが作り出していることであると考えることが妥当であると思われます。
そこで今回は高校生のSNSの利用状況の現状とスマホ依存およびいじめの問題に関して考えていきたいと思います。
4,高校生のネット依存の現状
令和6年7月に国立青少年教育振興機構から発表された「高校生のSNSの利用に関する調査報告書 -日本・米国・中国・韓国の比較-」では、日本の高校生がSNSを利用する主な目的は、「ゲームや音楽などの娯楽」(86.2%)「趣味や興味 のある話題に関する情報の収集」(82.4%)「リアルな友達や知り合いとのコミュニケーション」 (76.7%)、「家族との連絡」(75.8%)の順となっており、いずれも75%以上と、米中韓に比べて も最も高くなっている。また、「勉強に関する情報の収集」(46.1%)、「推し活」(36.7%)も日本 が4か国中最も高くなっていました。
平日の1日あたりの利用時間について、日本は、「1~2時間未満」と回答した割合が26.7%で 最も高く、次いで「2~3時間未満」(25.3%)、「3~4時間未満」(17.3%)の順となっています。 これに対し、米国は「5時間以上」と回答した割合が21.8%と4か国中最も高く、中国は「30分 未満」が35.6%と、日米韓の5%未満と比べて著しく高く、休日の1日あたりの利用時間について、日本は「5時間以上」と回答した割合が27.2%と最も 高く、平日より20ポイント弱増え、4か国の中でも米国の29.6%に次いで高い。「4~5時間未 満」の割合が16.8%で、平日より10ポイント弱増えています。
日本の高校生は休日以外では学校生活に大半の時間を制約されている現実が浮き彫りになっています。この実情を鑑みるとネットに依存する状況は深刻であるように思います。
日本の高校生は、SNSの利用による不安や心配として、「勉強への影響」と回答した割合が55.5% とほかの項目より高く、4か国の中でも中国に次いで高い状況です。
また、「ネット依存」と回答した割合 が48.8%で、4か国中で最も高くなっています。また依存傾向を表す統計として、日本の高校生が、この1年間において、「もっと多くの時間をSNSに費やしたいと考えたこと」 (50.2%)「SNS の利用を禁止されてイライラしたこと」(31.3%)「SNS が原因で、趣味や余暇活動、運動の優先順位が下がったこと」(36.1%)「授業中、SNS をみること」(11.8%)が「ある」 (「いつもある」+「よくある」+「ときどきある」、以下同様)と回答した割合はいずれも4か国中 最も低くなっている。また、「SNS で起こった出来事について、いろいろと考えてしまうこと」 (51.2%)「不安やストレスを軽減するためにSNSを使ったこと」(63.7%)「SNSの利用頻度を減らそうと思ったが失敗したこと」(54.3%)が「ある」と回答した割合は米韓より低い。一方、上記の7項目で「ない」と回答した割合は、日本がいずれも4か国の中で最も高くなっています。
このことから高校生自らネットの依存状況を意識し、自ら制限しようとしている日本の高校生が他の3か国に比べて割合が高いにように感じます。このことは、SNSの利用による不安や心配として、「勉強への影響」と回答した割合が55.5% とほかの項目より高く、4か国の中でも中国に次いで高い統計からもわかります。
日本の高校生は、SNSの利用により、「寂しくなる」「イライラする」ことが「よくある」「ときどきある」と回答した割合はいずれも約25%で、4か国中では、最も低くなっているものの「落ち込む」「眠れない」「他人に嫉妬する」ことが「よくある」「ときどきある」と回答した割合はいずれも約3割となっており、「ものごとに集中できない」ことが「よくある」「ときどきある」と回答した割合は4割強となっていることからSNSの利用がいじめや不登校の現状と深く結びついていることが統計からも読み取れます。高校生の不登校の原因として挙げられる本人に関わる状況だと3番目に多い「学業不振」はスマホ依存による勉強時間の確保にも大きく影響していることが浮き彫りになってきます。