高等部:高等部通信4月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-4
2025年4月15日
6,SNSのトラブルの現状
高校生に関してはほとんどの生徒がスマートフォンを保有しているだけではなく、インターネットの利用にほとんどの高校生が利用しています。高等部の生徒の皆さんは交通機関を利用して通学しているため緊急の連絡用に全員がスマホを携帯しています。
このようなことを記事にしたのは、自然学園でもSNSでの生徒同士のトラブルが少なからずあるからです。一般に発達障害傾向がある生徒の特性として、言語性の低さや一方的な伝達などによるコミュニケーションの苦手さが挙げられます。重ねてワーキングメモリの問題や衝動性、人の気持ちがあまり理解できないなどの特性が、メッセージのやり取りの上で相手に対して気遣いのない表現や言葉を文章として通信してしまい、グループ内で批判を受けたり、一方的に自分の思いを押し付けることによってグループ内で引かれてしまったりすることが少なくなく、それがきっかけでLINEはずしなどのトラブルに結びつくケースも過去にありました。
このような特性を持った人たちは他の生徒より遥かにSNSのトラブルが生じやすい要素を抱えています。そして興味の偏りやファンタジーを好む特性は自分の世界に入り込みやすく、自分の狭いスマホを通したコミュニティーが自分のすべてであると錯覚し、そのコミュニティーから疎外され、孤立すると生きる意欲さえ失う人が増えてきている子どもたちの社会を上記のニュースは浮き彫りにしているように思います。
自己肯定感が低く他者の目を絶えず気にしている人たちは、嫉妬心、猜疑心などを持ちやすく、コミュニティーの自分の存在に対する不安や恐怖心から匿名で誹謗中傷を書いたり、なりすましたりする行為に至る可能性も否定できません。私はSNSと言う情報ツールはこのような気持ち、特性を持った人たちの負の部分の感情を刺激しやすいコミュニケーションンであると感じています。
ほとんどの生徒の皆さんは小学校や中学校在学中に不登校やいじめを経験しています。そのことが継続することによって強迫性障害や統合失調症傾向、拒食過食などの2次的な情緒の混乱に悩んで医療機関に通院している人も少なくありません。学力面での問題に起因する場合もありますが、人間関係のつまずきに起因するケースが非常に多くなっています。最近の高等部の在籍生徒の実例で言うとSNS(ソーシャルスキルネットワーク)のやり取りの中でトラブルを起こしてしまうケースを多く聞くようになりました。
最終的に社会参加が高等部の生徒の皆さんの大きな課題になります。その課題を乗り越えるには、人との関係性の克服であり、コミュニケーションも含めたソーシャルスキルの獲得に集約されてきます。
東京都教育委員会・神奈川県教育委員会が「青少年のネット利用実態把握を目的とした調査」を実施した調査だとスマホなどを通じたネットの利用時間で、平日では1~3時間が多くなっているということでした。スマホの利用時間帯は、東京都の高校生の調査では、22時台・23時台・24時台に集中しており、スマホで夜更かしをしている実態がある。
またネット上の人間関係・対人トラブルでは、「ネット上でうそを広められた」「LINE上で自分の知られたくない情報が流された」「写真を勝手に公開された」「入っていないグループトーク内で自分の悪口を言われた」など、プライバシーや対人関係を心配している高校生が多いようです。
自然学園の生徒の皆さんの中には、言語性が低く自分の気持ちをうまく相手に伝えられない特性を持っている人たちが多くいます。コミュニケーションに関しても、一方的で自分の主張や言いたいことに終始して相手の気持ちは理解しようとしないことも特徴の一つだと言えるでしょう。もともと傷つきやすく、他人に嫌なことをされたり言われたりしたことは決して忘れません。それどころか時折、思い出してパニックになってしまうのです。フラシュバックと言われている状況もこのようなことのひとつだと思います。