高等部:高等部通信4月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-5
2025年4月16日
7,保護者の皆さんにお伝えしたいSNSの利用の仕方
保護者の皆様にも注意してほしいことはスマホのSNSのトラブルから不登校やいじめにつながる中学生、高校生が非常に増えていることです。
先にご説明したようなことでのスマホの利用時間は、午後10時から12時に集中しています。自分の部屋にこもり、嫌なことを思い浮かべて悶々としている時間と利用時間が重なっているので、学校での人間関係のトラブルやクラスメートの不満(恨み・嫉妬等も含む)や自分にとって許しがたい行為をされた場合、SNSを使って自分の言いたいことを一方的に送りつけて、他者を攻撃しようとする人が多いようです。特に彼らはグループに所属していて他の人たちが自分の打った文章が、他の人からどのように理解されるかを考える余地もありません。自分の意見だけ一方的に主張します。また「なりすまし」や匿名での投稿も多いようです。それが拡散するので、クラスでは犯人探しが始まり、まわりとの確執を生みます。それが人間関係の大きなトラブルになっているケースが非常に多いのです。いじめにつながることや人間関係の不安につながり情緒の混乱を招くケースは、少なくありません。
自然学園に入学してきた生徒は、一般の高校生と同じような人間関係の構築を高等部の学校生活に求めている人たちです。友人ができたこと、その友人とSNSでつながっていることは、彼らの登校する意欲につながっています。保護者の皆様もそのようなお子様に制限を加えたくないと思われている方々が多いと思います。そうであるならばそれぞれの家庭で安全なスマホの利用の仕方を話し合い、正しく利用できるような約束事を作ってほしいと思っています。家庭内での話し合いが、お子様のネット利用の安全意識を高めると言われています。現在では、保護者と高校生が、スマホ利用について話し合うことがもっとも大切だということが高校生のスマホ利用の原点だと認識されています。ぜひこの点に関して保護者の方のご協力を仰ぎたいと思っています。
そしてその原点と考えられる自己肯定感の低さや人との関わりの苦手さを改善していくことが重要です。ワーキングメモリなど認知の凸凹や感覚統合の問題など情報がうまく処理できずに作業がうまく消化できないことや、コミュニケーシションの苦手さを自分の欠点として受けとめて自覚することが、企業からも望まれる社会に参加するための大切なスキルになります。そのようなつまずきを受け止めることができないことで、特性のひとつである自己評価の高さから、責任転嫁や自分を批判した人に対しての攻撃性や自分を取り繕うための虚言や嘘などの負の行動が頻発するようになるのです。SNSと言うツールは、彼らにとっての便利さがある一方で、そのような彼らが持ち合わせている衝動性や攻撃性を助長するのです。
SNSは相手と対峙してのコミュニケーションではなく、一方的な伝達や書き込みのため自分の感情のコントロールがしにくいのです。匿名性の高さも攻撃性を高める要因になっています。だからこそクラスを通しての人の関わりを学んでいく機会を作らなければいけません。
高学部の学校行事やSST(ソーシャルスキルトレーニンング)、コミュニケーション、グループワークなどの授業を通してつまずきによるトラブルの対処の仕方を学び、人の関わりがより強くなるコミュニケーションや付き合い方を学んでいくことがこれからの学校生活で求められることでしょう。
8,終わりに
4月27日の日曜日に藤まつりが開催されます。コロナ禍では4年間中止になっていました。春日部市を代表するイベントの一つです。自然学園の校舎の前の藤の花も開催日より2週間ぐらいまえからの開花予定です。
自然学園の高等部2,3年生と大学部の生徒は、藤まつりに校舎前での模擬店を出店することになりました。思いやり収穫祭(学園祭)での模擬店とは違い、通り沿いに並ぶ模擬店と同様、お祭りを見に来たお客様に喜んでもらえる商品を販売することが必須条件になります。したがって衛生面や調理工程、商品を提供する時間などきめ細やかに気を使い連携するグループワークが必要とされます。当然販売する商品は、お客様に喜んでもらえるような味や価格帯を考えなければいけません。今提供を準備している商品はクラスの生徒が話し合って生まれたスーパーフードの傑作です。作り方はシンプルですがとてもおいしいです。私が試食させていただき太鼓判を押しました。自然学園在籍のお子様や高等部1年生の新入生および保護者の皆さんをはじめ大勢のお客さんに楽しんでもらいたいと思っています。
生徒の皆様と授業以外に触れあうことができる機会を積極的に設けていくことでグループワークを身につけて協調しながら協働できるスキルを育み、自立を実現することが自然学園で学ぶことの意義だと考えています。そのような意味では自然学園の学校行事はSSTの実践になります。SSTは汎化できなければ意味がありません。効果的なロールプレイングは実践でのリハーサルです。そして行事のフィードバックをクラスで実施して次の行事で生かすことができれば必ずソーシャルスキルは気が付かないところで驚くほど向上しているはずです。保護者の皆さんのご来店をお持ちしています。
自然学園学園長 小林 浩