高等部:高等部通信4月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-3
2026年5月2日
3、高1クライシス
高校へ入学して間もない時期に新しい環境になり、勉強面や生活面での変化に適応できないケースが生じます。そのような流れで、不登校になったり、退学したりしてしまうこの時期の現象のことを「高1クライシス」と呼びます。
高1クライシスの原因とは①「通学時間が長くなる」②「交流関係の変化」③「学習面の変化」が挙げられます。まず①の「通学時間が長くなる」とは小中学校には、自宅から歩いて通えていた生徒も、高校からは学区が広がり、今までよりも遠い場所にある学校まで行くことになるケースが多くなります。電車やバスなどを使うこともあり、これまでより通学時間が長くなるでしょう。登下校の時間帯は、公共交通機関が混み合う事もあります。中学校よりも授業や部活の用意など持ち物が増え、荷物が重たくなっていることもあります。重たいカバンを持ち混雑した電車やバスで通学する。慣れるまでは、それだけで疲れてしまい、負担になることもあります。次の②「交流関係の変化」とは高校生になると、小中学校で仲良くしていた友人と離れるケースが多くなります。学力で合格した学校なので底辺校と言われる学校には登校意欲や学習意欲がなく素行が不良な生徒が集まりやすいので、おとなしい自発的に発言することが苦手な生徒は、クラスの環境に不安や恐怖心が強くなります。自分とおなじようなタイプの生徒と出会う確率が低くなります。
このように初めて出会う同級生との新しい関係性を作り上げていくことに、ストレスを感じ不安になる生徒もいます。知り合いがいない環境で上手く過ごせるか心配になり緊張が強くなります。最後の③「学習面での不安」とは、高校は受験する際に、自分の学力レベルに合った学校を選びます。そのため、同レベルの学力の生徒が集まるので、その中で、成績を維持するためには、努力が必要です。義務教育ではない高校は成績が単位の認定に結び付くので成績次第では落第、退学の可能性があります。中学では成績優秀だった生徒も苦戦して、自信を無くしてしまうこともあります。学習のスピードが早くなることもあり、学習面での不安がストレスになります。
今回お話したことは、一般の全日制高校をはじめとした高校生の話しですが、高1クライシスの家庭での対応で大切なことは、子どもとの接点をなるべく多くとるようにして相談する場を必ず設けることです。不安や緊張が強く情緒が安定しない場合はすぐに医療機関を受診することです。
高校と中学校との違いは単位認定にあります。「学習面の不安で授業が分からない、レポートなどの提出物が出せない。」と戸惑うケースは、入学後すぐに起きやすい特別支援を必要としている生徒の不安の一つです。通信制高校の場合は、学力考査に直結し単位が取得できなくなる可能性があります。学校ともすぐに連携してその原因を明らかにしてください。発達障害が関係する認知発達の凸凹が原因ならば、学校に対して合理的な配慮を求めればすぐに対応が可能です。不安が強い生徒は医療機関や専門機関などにも相談し、発達検査も含めた診断を出してもらう必要があります。
その結果、教室に居場所がなくなり、自己肯定感は下がり、不安の強さが情緒の混乱となり、精神的な不安が強迫性障害やうつ病、不安障害など精神疾患を合併して、家庭や学校での問題行動と合わせて社会適応の困難さを生じる二次障害へとつながります。先にご説明した通り不登校や引きこもり、家庭内暴力、自傷行為、教員や同級生への暴言や暴力、拒食や過食などにもつながるケースもあります。「甘える」や「誰かを信頼する」などの経験値が極端に低いため、自分に向けられる愛情や好意に対しての応答が、怒りや無関心となってしまう状態を愛着障害と言いますが、幼児期の愛着形成に何らかの問題を抱えて発達にゆがみが生じて成長した状態でもあります。愛着とは医学的には特定の人に対する情緒的なきずなを表しています。
先天的な発達障害やこのような生まれ育った環境に関係がある愛着の問題が、「人格障害」などの精神疾患の要因に考えられるお子様も少なくないのです。本来抱えている困難さの他に、二次的に情緒が混乱、または不安定になったり、身体症状として現れたりすることがあります。それらは発達障害の「二次障害」と言われています。発達障害がある子にとってはさらに困難さが増えてしまうため、気をつけなければなりません。二次障害で生じやすい強迫性障害や不安障害、不眠や鬱症状などは、発達障害の合併ではない場合も考えられます。
以上のことが起因したトラブルは、学校生活が少し落ち着いた今の時期に起きやすいのです。そしてこのような学校内の問題行動は、クラスでの居場所を失い、クラスメートから疎外され孤立してしまうことも珍しいケースではありません。愛着障害は自分がまわりから疎外され疎まれることが大きくなればなるほど承認欲求が強くなり、他者から注目されるための問題行動をわざと起こす傾向があります。周りの反響や反応が大きければ大きいほどその回数は増えていきます。





