高等部:高等部通信5月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-4

2025年5月11日

4、高等部での授業とレポート課題について(通信制高校の現状と自然学園の取り組み)

連休が明けて、新入生は学校生活にも慣れ、いよいよ各学年とも前期学力考査の出題範囲にも重なるレポート課題を本格的に勉強に取り組まなければいけない時期になり授業にも活気を帯びてきています。

全日制で授業に取り組み、埼玉県教育委員会に技能連携施設として認定されている通信制高校の学習センターなどの生徒は、単位認定基準としてレポート課題の提出が義務付けられています。単位が大きい教科ほど年間の提出枚数は多くなります。例えば年に12回の提出回数ならば前期、後期のそれぞれ6回ずつの提出なので、毎月2回ぐらいの割合で提出日の期限が設けられています。登校タイプの学習センターではこの提出期限を目安に授業のカリキュラムが組まれています。この授業がスクーリングとして認定されます。レポート課題の提出が学力考査の受験資格になるので、期限内に提出しないと単位が認定されません。通信制高校は単位制なので留年はないのですが、3年間で卒業を目指す通信制高校の技能連携施設では、学年制で授業を進めるので、単位が認定されないと学年に合わせたクラスの授業への参加が難しくなります。

令和3年1月の中央教育審議会答申において提言された普通教育を主とする学科の弾力化(普通科)改革や、教科等の横断的な学習が「新時代に対応した高等学校改革推進事業」によって令和4年から実施されています。これは遠隔・オンライン教育の活用とともに学力的な幅を持たせて学習に取り組むことが進められていると考えて良いと思います。「新時代に対応した高等学校改革推進事業」は、その生徒にあった進路選択や興味のあることに取り組みその生徒の特性を生かした才能を育成することも視野に入れているのです。なにも大学進学だけが進路ではないはずです。そうであるなら、単位の認定も各高校が指定している最低限度のプログラムを消化すれば学習指導要領に沿った教科の項目は柔軟に弾力性をもって対応できると解釈してもいいのではないかと思います。

現在は通信制高校の入学者は特別支援教育を必要としている人たち(通常級で通級を利用していた生徒)や不登校を経験していた人たち、あらゆる理由で高校を中退してしまった人たちです。共通する課題としては学力があり、中3の学力を持っている人はほとんどいないと思っています。そんな人たちが高校の学習を修得できるはずもありません。

今現在の通信制高校はICTを使った自宅での学習など、あらゆる生徒の状況に対応した学習支援が可能になっています。自然学園でも生徒のニーズに合わせた新しい取り組みを今年度の生徒募集から導入しています。放課後の時間帯から登校できる少人数制のコースや在宅型の個別学習コースを新たに導入しました。

新入生の生徒の中には、中学校時代から教科書やワークなどの宿題に悩み、宿題を提出できないから学校に行きたくない、試験も受けたくないと学校から出される課題に非常に神経質になり、やがては勉強そのものに投げやりになり「どうせできないからいいや」「勉強なんかやってもしょうがない」という気持ちを抱いていた人も少なくないでしょう。その生徒に合った進路選択や興味のあることに取り組み、その生徒の特性を生かした才能を育成することも視野に入れているのです。なにも大学進学だけが進路ではないはずです。

自然学園高等部の通常コースは高校卒業後、就職を目指している子供たちの進路も積極的に応援しています。2005年の発達障害者支援法の導入によって、医療機関での診断があれば精神保健福祉手帳の取得が可能になりました。障害者雇用促進法による法定雇用のカウントされるようになったのが2006年からで2018年には、法定雇用率の算定の基準に加わり精神障害者の「雇用の義務化」が始まりました。毎年の障害者雇用の就労率でその大半を占めるのは発達障害がある精神障害者です。そして大手企業が法定雇用率の上昇に伴い積極的に雇用するようになっています。

今年の3月に卒業した生徒で就労を希望した生徒は非常に高い就労率でした。テレワークの就労以外は毎日の出勤が働くことの基本です。就労を希望する生徒は障害者就労の場合は企業での実習が必須になります。そのためにも、不登校を経験した生徒は時間をかけて登校することに慣れることが目標になります。自然学園はそのための3段階のスモールステップを用意しています。前記した新しいコースは「新時代に対応した高等学校改革推進事業」の答申に沿ったそのための自然学園の具体的な取り組みです。

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