高等部:高等部通信6月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-4

2025年6月22日

5、高等部2、3年生の生徒、保護者を対象にした進路説明会

6月4日(水)に高校3年生、6月10日(火)に高校2年生の生徒、保護者を対象とした進路説明会を行いました。具体的な目標をもって意義ある高校生活を送ってもらうためのキャリア教育の一環としての位置づけで毎年実施しています。私から就職についての話を発達障害のお子様の現状も踏まえてさせてもらいました。私がいくつかの企業の採用担当者と話す中で共通して話題に挙がることは 障害者雇用率が令和8年7月から現行の2.5%から2.7%に引き上げられることになったことです。その採用人数を充足するために企業が積極的な人材の確保に動いています。しかも2025年から生じる深刻な労働人口の減少からくる人材難に解決の1つに障害者雇用が挙げられています。現在の障害者雇用の主役は間違いなしに発達障害の精神障害者なのです。

そして、この動きの中には大手の名だたる企業が今まで以上に法定雇用率の充足に力を入れていて、プロジェクトの一つとして積極的に採用を進めている現状があります。採用したい人材の発掘にも各社の努力が見られます。障害者雇用は必ず体験就労が義務付けられていますが、その中に、普通就労では当たり前のように取り入れられているグループディスカッションに相当するグーループワークを導入し、リーダーシップ、実行力、発言力、アイディア・企画力およびコミュニケーション力や協調性などのスキルを基準として、個々の能力が評価されることになるでしょう。障害者就労においても、少しでも能力の高い職員の採用を目標に掲げているのです。

私が定着支援などで企業を訪問して職場を見学させていただいたときに思ったこととして、採用した一人ひとりの仕事のスキルや適性にあった作業や業務の配慮が最近特に顕著に見られるということです。どの企業も従業員の定着を目指していることは強く理解できます。それを前提に企業が望むことは、障害に対するセルフマネジメント力です。合理的配慮として企業が用意してくれている環境や時間をうまく生かすことは個人の能力であるとの考えです。それには最低限度コミュニケーション力が必要になります。そして、会社の決められた時間やルールに従い、他者に迷惑をかけず、組織の中でのグループワークができることを条件に挙げているように思います。企業にとって自閉症やADHD、LD、精神遅滞などの診断名は問題になりません。与えられた作業が消化できれば、知的な問題での仕事の質や作業効率より職場での安定感が何よりも大切なことのです。

発達障害の人たちの中には勉強ができ、運動が人よりできる人もいます。それはよりレベルの高い仕事をこなせる能力に結びつきますが、作業効率がそれほど問題にされない特例子会社などは、むしろ正確性や他者との連動性のスキルに重きを置くでしょう。そのことを理解した上で実習に参加する姿勢がないと、採用に結び付くことは難しいと思います。そこをもう一度考えて、残りの高校生活で高等部の皆さんの障害特性である情緒の混乱や不安によるパニック、自分が不利な立場になったときや怒られた時に出る批判的な言動を少しでも改善する努力が、就職に対して良い結果につながることになるはずです。自然学園は企業の連携も含めて全力でお子様の支援をさせていただきます。私が実習での付添いや定着支援で見た現場の状況を事例として挙げながら以上のような内容のお話をさせていただきました。

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