高等部:高等部通信6月号 学園長ブログ~可能性のとびら~-2
2026年6月19日
2、不登校を経験している人たちのための3段階のスローステップ
在籍生の中には不登校の経験があって入学してくる生徒は珍しくありません。特別支援教育を必要としている通常級で通級などを利用している生徒や特別支援学級で情緒級に在籍して療育手帳の更新できないか取得できないお子様は増加しています。支援級に転籍するきっかけになったことが人間関係のトラブルや学力不振、いじめや宿題が提出できない、担任とのトラブルなどさまざまや要因がありますが、最終的には無気力や情緒の混乱の理由で行き渋りを経て不登校に至ったお子様は多くいます。そのようなお子様は長期間に渡り不登校を経験している人たちが大半を占め2次的な精神的な疾患の症状が出ている生徒は少なくありません。そのようなお子様が高校進学を決断しても登校の問題や学力などの問題で選択できる高等学校はそんなに多く選択肢がないことが現状です。毎日の登校がない通信制高校でも関連の教育連携施設で短期間のスクーリングと試験を受講しなければならいケースがほとんどで上記の状況で負担が大きい生徒も少ないと思います。
思春期は一般には、12歳から17歳ぐらいまでを指し、小学校5,6年を前思春期、中学生頃を思春期初期、高校生頃を思春期中期、高校卒業時期頃が思春期後期と言われています。思春期になると①反抗的になる②親から距離を置く③精神的に不安定になる④外見を気にするなどの行動があらわれてきます。最近では体の成長が先で心の成長が遅れてくるもので20歳までに自立している人がほとんどいなくなったと言われています。現在は自立しなければいけない年齢は30歳までとされているという話をある児童精神科の専門医から聞いたことがあります。神経発達症(発達障害)のお子様は思春期が遅く、大人になる精神的な基盤が脆弱であることから自立が遅くなる傾向があります。30歳すぎても保護者から自立できない人たちは珍しくありません。
精神分析の人の使う言葉で、doingと言う言葉があります。これは行為と言う意味です。これに対応する言葉はbeing。存在価値と言う意味です。今の人の評価は、見えやすい部分、doingで評価する事になりますが、できない人は価値がないわけではなく、たまたまできない人も存在します。生まれたばかりの赤ちゃんはdoingが何もできません。その時に親が全てやってあげます。その中で一番大切なのは、そばにいてやる事。泣いたらすぐに駆けつける人だそうです。その経験の中で人はbeing(存在価値)に気づくものであると言うことですですがbeingは、この社会、日々の学校生活の中で自分のbeing(存在価値)は忘れ去られてしまうものです。それを取り戻すのが居場所であり、人はいるだけでOKと言われる場所が必要であるとのことであると児童精神科の専門医からは言っています。学校生活でいえば認知の発達に凸凹がある生徒ほど集団生活での問題行動は多くなり、褒められることより、doing(行為)に対して怒られることの方が多くなります。Being(存在価値)に気づけないまま自己肯定感が低くなり学校生活に居場所が見いだせないお子様は発達にゆがみが生じるようになり、ますます自分の殻から抜け出す勇気がなくなってしまいます。
そのため自然学園高等部では学校における居場所づくりをスモールステップですすめています。入学の段階で毎日の登校が難しい生徒もいましたが、学年が上がるごとにクラスになじめるようになっています。スローステップを実践していくことで少しずつ家からの登校にも、環境にも慣れてきます。自分を受け入れてくれているクラスメートの存在に気が付けば緊張し閉ざしていた気持ちが解放されていきます。「こんなことも許されるんだ」「こんな風にしても大丈夫なんだ」とまわりの空気を確認しながら自問自答を繰り返し、ことわざにあるように「石橋を何度も叩いて渡りながら」自分の心がその空気に馴染んでいるように感じることが登校できるきっかけを作るのです。
自然学園が掲げる3段階のスモールステップで徐々に登校に慣れ、学習への取り組みを学びクラスに馴染めるアプローチを実践しているのです。第一段階は学校に足を向ける理由を作ってあげることです。「自分の興味のある子の教科だけは参加したい」「担任に会うためにクラスに関わらずに登校できる機会が設けられている」「自宅で学習したれレポートを添削してもらいに来る」「自分の気持ちを聞いてもらう機会が設けられている」など学校に登校するきっかけを作り、その回数を増やすことが最初のアプローチになります。第2段階ではクラスメートと接するきっかけを作ります。ホームルームなどの参加、部活動の参加、学校行事などの参加等で他者と触れ合い時間を共有する時間を増やし授業参加につなげていきます。弾3段階では少しずつ出席できる教科を増やし、特定の午後や午前中の時間だけ、特定の曜日の1日のみなど登校日を無理なく増やしながら3年間かけて登校につなげる登校にむけたスモールステップを実践しています。





