高等部:高等部通信6月号 学園長ブログ~可能性のとびら~ -7

2024年7月22日

7、終わりに

 

高等部の生徒の中には、この時期、特に人間関係で悩んでいる人たちがたくさんいます。この悩みは高等部での人間関係とは限りません。大半の人たちは、小中学校時代から同じ悩みを抱えています。常に他人から自分がどう思われているのかを考えている割には、相手の気持ちを考えずに一方的に自分の気持ちを伝えるような言動を取ってしまいます。相手に拒絶され、自分の気持ちを受け入れてもらえないと気付くと相手を批判するか、相手から疎外されたとして相手を遠ざけてしまうことが多いことが一つの特徴だと言えるでしょう。そのようなトラウマが起因してクラス以外のコミュニティでもほんの些細な出来事にも繊細に反応して必要以上に動揺し絶望の淵に立たされたような思いになってしまう人が少なくありません。中学校での経験が少ない生徒は、高校に入学して中1ギャップと同様の経験をする生徒が多くいます。人間関係で衝突した次の朝、急に不安で胸がいっぱいになって登校することが出来なくなってしまうことが、人間関係トラブルの代表とも言えるパターンの一つだと思います。

 

まだ行事に参加できない生徒たちも数人いますが、在籍を重ねる中で人間関係も自然に構築できて、クラスの中での生活が苦痛ではなくなる日が必ず来ます。しかしながら、人間関係がうまくいくともう一つ踏み込んだ友人関係を要求したくなるので、距離感や人間関係のタイミングなどをうまく測れない人たちは、時折トラブルを起こしてしまう傾向があります。そして、今まで培った誤学習から自分に同情してもらいたい、自分の気持ちをわかって欲しい、複数の人間関係から1対1の関係を求めて、その関係においては唯一無二の存在でないと我慢できない人が多いように思います。友人関係でも、異性との関係でも自分だけを見てくれないとだめなのです。その感情が抑制できないので問題行動をわざと起こして相手から注目を受けようとします。そのようなことをすればするほど人の気持ちが離れていきますが、そのことがわからないのです。

 

一度精神的に不安定になると、なかなか回復できないのも彼らの特性の一つです。入学者の中には、小学校時代から不登校が続いている生徒もいます。その生徒は入学した時より明らかに登校日数が増えていて、週1回休むか休まないかになってきています。朝どうしても起きられず遅れてくる日は時折あるものの驚くぐらいの回復力を見せています。

 

今後も、お子様の様子を十分見ていただくとともに、少しでもご不安な点があれば遠慮なくご相談ください。よろしくお願い申し上げます。

 

自然学園学園長 小林 浩

お問い合わせはこちら