高等部:2月号学園長ブログ-7

2024年2月27日

7、自然学園で実践している子どもたちの居場所づくり
 
 子どもたちの居場所づくりを考える前提として、彼らの困難さの理解が必要になります。困難さの理解には、自然学園が掲げているアセスメントは必然的な要素ですが、最もアセスメントで大切な要素は保護者とのコミュニケーションと、家庭との連携だと思っています。保護者が本人の成育歴から感じている育てにくさや問題行動などの背景を一緒に考え、彼らが実際にできることを提案していくことが改善の第一歩になると思います。彼らにある発達の凸凹の共通した理解と、その凸凹を補う学習のアプローチの方法や課題の取り組ませ方の工夫、具体的なユニバーサルデザインなどを含めた学習環境や学習方法の共有が彼らのつまずきの背景をより明確にし、効果的な支援の提示に繋がることは今までの経験からも紛れもない事実です。よく耳にすることがあると思いますが、個別の支援計画とは、このことを踏まえた支援目標を明確化してそのことを実現させるための具体的な設計図のようなものです。

家庭には家庭にしかできない役割があり、学校には学校にしかできない役割があると私は思っています。学校は集団で授業を受け、集団で生活する場なので、他の人に迷惑をかけないための最低限のルールがあります。学校の校則やルールはいらないという極端な意見もありますが、他者との協調性やグループワークなど、社会で求められている必要最低限のソーシャルスキルを学習する場として、学校は必要不可欠な場所ではないでしょうか。

ただ、学校の欠点は一人ひとりの特性に合った合理的な配慮やきめ細かいユニバーサルデザインを取り入れることには限界があることだと思っています。現在、盛んに使われるようになったサードステージとは、ファーストステージのユニバーサルデザイン、セカンドステージの合理的配慮、そしてサードステージの「特別な場所での個別教育」を指します。通常級では、障害のある子に特化した活動を十分に設定できない場合があります。自然学園高等部はサードステージの役割を果たしながらも、特別支援学校や通級および特別支援学校の役割を担う、発達のつまずきがある子どもたちの新しい学びの場といえると思います。

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