「インクルーシブな社会を目指す ポイントフォーカスマガジン」~不登校、発達障害でお悩みの保護者様に役立つ用語解説!~

ワーキングメモリについて(学力不振との関係について)~ワーキングメモリについて(2)~

2025年6月25日

これに相当する心理学用語に、「リハーサル」という言葉が用いられます。リハーサルとは、『短期記憶の忘却を防いだり、長期記憶に転送したりするために、記憶するべきことを何度も唱えること』とされています。

短期記憶の貯蔵庫で、頭の中で情報を復唱する「リハーサル」を繰り返し行っていると、その中の幾つかの情報が長期記憶の貯蔵庫へと転送されていきます。リハーサルの回数が多いもの、選択的注意の程度が大きいもの(印象が強烈なもの)ほど、重要なものとして  短期記憶から長期記憶へと定着する可能性が高くなります。

記憶や空間学習に関わる脳の器官である海馬に情報が転送されます。そこでの短期記憶は、諸説ありますが1ヶ月程度保持されるようです。海馬にある記憶は1か月以内に消える危険のある、不安定な状態の記憶です。その間に「生きていく上で必要な情報か否か」という視点から審査を受け、必要と認識された重要情報のみが側頭葉を始めとした大脳皮質へ情報が送られ、本物の記憶(長期記憶)へと移行するようです。

一方、子供たちにとってテスト勉強などの情報は、生命の保存という観点からはなかなか重要という認識を持ちづらいものです。勉強で得られるような印象が薄い知識を定着させるのは容易ではなく、何度も何度も反復して海馬に情報を送り、生存上必要と思わせない限り、情報は長期記憶に移行されず、忘れ去られてしまうことになります。受験の勉強方法においては、最低でも海馬の段階をクリアして、側頭葉などの大脳皮質に保管しなければ本物になりません。試験に出る漢字が頭に入らない、英単語が覚えられない、と悩んでいるという人は、1か月以内に繰り返さないことが原因です。最初の1か月で何度も繰り返し復習していくことによって、長く忘れない本物の記憶にできるのです。

ワーキンングメモリが起因した短期記憶や処理は、言語的短期記憶と言語性ワーキングメモリそして視空間的短期記憶と視空間性ワーキングメモリと言う4つの側面の記憶と操作の特徴があるそうです。数、単語、文章と言った音声などの情報を取り扱う言語の領域のワーキングメモリとして言語的短期記憶は言語の記憶のみ、言語性ワーキングメモリは、記憶と処理に該当するそうです。イメージ、絵、位置などの情報を取り扱う視空間の領域は、視空間的短期記憶は記憶のみ、視空間性ワーキングメモリは記憶と処理に該当するそうです。具体的に言うと言語的短期記憶は、保護者や先生などの口頭などでの指示が入り、行動として実践できる能力に直結しており、言語性ワーキングメモリは、作文や日記などを書くときに、記憶したことを思い出して文章にまとめたり、要点を整理したりする力に直結します。また視空間的短期記憶は黒板の字をノートに書き写すときの字の形など位置情報の短期記憶の弱さが何度も板書の文字を確認してもうまく行や枠に収まらず、スムーズに書き写せない困難さに直結します。視空間性ワーキングメモリは、図形の展開図など平面図を記憶して立体として想像する、記憶と処理の力が弱いことから生じる困難さです。このように勉強でも日常生活においても学校生活においてもワーキンングメモリは露骨に関係しています。このことは広島大学の教育学の教授である湯澤正通先生の著者にも記されていて私は勉強会で直接学びました。

お問い合わせはこちら
       
カテゴリー
インクルーシブマガジン アーカイブ
検索

自然学園 公式X更新中

自然学園 Instagram更新中!