いじめと発達障害について
2012年9月20日
いじめの背景には、
コミュニケーション力が不足していることが一つの原因として考えられます。
かつては家庭や地域、
異年齢の友達の中で培われていたコミュニケーション力が、
現代の社会では身につきにくくなったと言われています。
また、ADHD、LD、自閉症スペクトラムなどの
発達障害を持つ子どもたちには、
コミュニケーション力が身につきにくい場合もあります。
相手の気持ちを読みとったり、
言葉の真意を理解できずに言われたままを受け取ったりすることがあるため、
子どもたちの間でトラブルになることもあるようです。
発達障害を持つ子どもが、
いじめの対象となるきっかけとして、
①ストレートな言動
②コミュニケーションへの苦手意識
③個性的なタイプ
④感覚の過敏
⑤運動能力のなさ
⑥おどおどした態度
などがあげられます。
また、いじめに対し過剰に反応する傾向があるために、
さらに攻撃されるという悪循環が生じています。
発達障害は、学習のつまずきだけでなく、
対人的なつきあい方にも遅れや困難を持つ傾向にあります。
そこで、いじめの予防として、
人間関係についての基本的な知識、
相手の表情を読み取るスキル、
自分の意志をその時の雰囲気に合わせて相手に伝えるスキルなど、
社会性や人間性を育てるための
ソーシャル・スキル・トレーニングを学んでいくことが
必要であり有効であると考えられます。
また、いじめっ子になっているケースでも、
障害に起因した本人の生きづらさがあると考えられます。
自信がないから自分よりも弱い子に対して力を誇示し、
執拗に支配しようとしてしまうのです。例えば言葉の発達が未熟なために、
会話がうまくできず、
暴力を選んでしまうこともあります。
そのため、自分の気持ちをうまく伝えることに、
もどかしさを抱えているため、単純に「暴力はいけない」と叱責すると、
孤立感を深め、反発し、悪循環に陥ると考えられます。
このような状況にあるとき、
まずは周囲の大人がその子どもの生きづらさを理解し、
彼らの視点から考えてみることが大事です。
どんな困難や課題にぶつかっているのかを確認した上で、
子どもの気持ちを代弁できる大人が介在できれば、
本人が自覚的に自分の気持ちを考え、
言葉で相手に気持ちを伝えようとするきっかけになるでしょう。
そして彼らの苦しい抵抗も終わらせることができるのだと考えられます。
自分では、一生懸命やっているつもりなのに、
うまくいかなかったり、仲間はずれにされたり、
いつも叱られたりすると、
しだいに何に対しても自信を失ってしまいがちです。
そこでまず、周りの人が障害の特性を十分に理解し、
その子どもを理解し、認め、
自尊感情を育てることが大切であると考えられます。
発達的な視点を持つことで、
障害のあるなしに関わらず、
すべての子どもたちをいじめる側にも、
いじめられる側にもさせない体制を
整えることが大切だと言えるでしょう。