学園長コラム 可能性の扉

2013年5月18日

今回は、発達障害がある子どもたちの
学ぶ力についてお話しさせていただきます。
 バンブー教室の入学説明会でも触れさせていただきましたが、
発達障害のある子どもたちは、その特徴として、
認知の弱さやアンバランスさがあると言われています。
そして、通常学級で授業についていけないことや、
学力が思うように上がらない原因は、この認知の
アンバランスさが起因しているとされています。
 発達障害がある子どもたちの場合、知的なつまずきがなくても、
勉強を苦手としているLD(学習障害)傾向を、
少なからず有しているケースが見られます。
 認知とは情報を処理する力です。
「発達障害と向き合う」竹内吉和 著では、認知能力とは、
見る、書く、聞く、話す、覚える、考えるなどの知的機能の総称で、
いわば学習する力の基礎となる能力だと言っています。
人間が学ぶときに必要とされる力として、1番目に聞く力、
2番目に話す力、3番目に読む力、4番目に書く力、
5番目に計算する力、6番目に推論する力であると言っています。
結論として人間として一番必要な力は聞く力だということになります。
そして聞く力とは聴覚的短期記憶だと結論づけられています。
 聴覚的短期記憶の弱さは、母子関係の愛着的な障害を引き起こし、
反社会性のつまずきに結びつきます。
そのつまずきは自閉症の特徴である「社会不適応性」
そのものであるとも言っています。
見ることと聞くことの本質的な違いは、
見ることは、消えない情報であり、あとで残る情報であるが、
聞くことの情報は一瞬、一瞬消えていく情報であるということです。
 学習面で言うならば、聴覚的短期記憶が弱いというのは、
学習の場に参加するモチベーションを著しく低下させます。
絵や写真、文字カードを使いながら、視覚的な支援をせずに、
ただ、説明中心の授業が、45分間継続すると、
授業そのものに参加できない状況が生まれ、
「学習性無力感」が子どもたちに生まれると言っています。
 竹内吉和先生がここでお話しされていることは、
私が説明会で繰り返しお話しさせていただいていることと
全く同じです。
 自然学園がお預かりしている子どもたちは、
学習に必要としているすべての力が弱く、
知的なつまずきがある訳ではありません。
子どもたち、一人ひとりの得意な認知の仕方に気づかせ、
苦手である認知のつまずきを補うことで、
必ず学習成果が出てくるはずです。
(つづく)

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