学園長コラム ~可能性の扉~②
2013年9月23日
以上のことから、発達障害を整理してみると、
自閉症スペクトラム障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、
ディスレクシアや算数障害を含むLD(学習障害)、
その他の周辺群としてトゥレット症候群、表出言語遅滞、
発達協調性運動障害などがあり、
発達障害の種類として考えられています。
臨床的には自閉症スペクトラム障害とADHDの両方が認められ、
社会生活の困難に結び付いている場面によく遭遇します。
表出言語遅滞は、高機能自閉症と重なり合う部分が
多いことで知られています。発達協調性運動障害は
高機能自閉症でしばしばみられる傾向があります。
しかしながら、現時点では、両方の症状が認められても、
診断としてはどちらか一方とされています。
では、このような分類のなかで、
どこまでが発達障害と考えればよいのでしょうか。
筆者は、障害を抱えた人を3つに分けて考えています。
言葉が話せず、このままでは、
将来にわたって生活していくことが難しいだろう、
という場合をコア群と見ます。
次に、自閉症の症状によって、
社会的な困難さは抱えているけれども、
適切なサポートがあればなんとかやっていける群を、
グレーゾーン群と言います。さらに、カテゴリー群とは、
ほぼサポートなしで小学校の通常学級に在籍し、
学校生活を送っているような場合を指します。
カナー型の自閉症で、
4歳未満に療育や対応を開始した場合、
6歳未満の時点で、2語文以上の表出言語がある子どもは、
文字表出ができるようになる可能性は、
作者の外来で約70%であったと述べられています。
ここでは、適切な時期に開始する療育が、
いかに効果的であるかということが書かれています。
適切な療育次第では、
コア群の自閉症の子どもたちが言語を獲得して、
グレーゾーン群に移行している事例や、
グレーゾーン群の自閉症の子どもたちがサポートなしで、
通常学級での学校生活をおくれるようになった事例も多く認められ、
いかに適切な療育が大切なのかが説明されています。
このことは、的確なアセスメントにもとづいた支援が、
いかに効果的なのかを非常にわかりやすく説明している文章です。