WISC-Ⅲについて

2012年12月5日

WISC-Ⅲでは、子どもの行動や学習において、
その背景にある脳の働きや、
情報処理の特徴やメカニズムについて、
客観的に理解することができます。
子どもの能力における、苦手な部分と得意な部分を明らかにし、
今後の支援について情報を提供してくれます。
この検査で分かることの一つは、
その子の全般的な水準(全検査IQ)です。
同年齢と比べて、個人間での子どもの発達の様子を見ることができます。
もう一つは、個人の能力における、
強い部分、弱い部分を知ることができます。
言語性検査から得られるIQと、動作性検査から得られるIQにより、
各能力のばらつきの差を見ることができるのです。
ここで、言語性IQと動作性IQについて、説明していきます。
言語性IQとは、
「耳から情報を受け取って、ことばによって答える力」を指しています。
これはさらに、
「言葉の知識や情報を状況に合わせて応用する力(言語理解)」と
「集中を持続させ、耳からの情報を正確に取り込み、
記憶する力(注意記憶)」に分けられています。
また、動作性IQとは、
「目から情報を受け取り、動作によって答える力」を指しています。
これは、目からの情報を取り込み、
統合して意味あるものへとまとめる力(知覚統合)」と
「目からの情報を、事務的に数多く、
正確に処理していく力(処理速度)」に分けられています。
同じ言語性や動作性の検査の中でも、
似たような性質をもつ検査同士が、まとまって算出されるため、
より細かい特徴が明らかになってきます。
例えば、同じ言語性を構成している「言語理解」と
「注意記憶」に開きがある場合、
「言語を理解する能力」は高いのに「記憶力」が弱い場合と、
「記憶力」は高いのに、「言語を理解する能力」が弱い場合、
その子への対応や支援の方法が変わってくることが分かると思います。
このように、それぞれのIQの値が
どれくらいかと言うことだけでなく、
それぞれの値の差から、子どもの持っている能力の凸凹が明確になり、
子どもに見られる特定の行動の理由や、
子どもにあった学習支援・行動支援の方法が分かるようになっています。
しかし、ここで注意したいことがあります。
WISC-Ⅲをすることで、子どものことが、
すべて分かるわけではありません。
また、障害が分かるわけでもありません。
検査を実施することで、子どものつまずきに共感できたり、
支援や指導のヒントを見つけ出すことができる、
という視点をもつことが大事です。
また、数値だけを見て子どもを判断するのではなく、
実際の子どもの行動や学習場面も視野に入れながら、
指導に役立てていくことが重要です。
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