「インクルーシブな社会を目指す ポイントフォーカスマガジン」~不登校、発達障害でお悩みの保護者様に役立つ用語解説!~

ワーキングメモリについて(学力不振との関係について)~ワーキングメモリについて(1)~

2025年6月9日

一般にワーキングメモリと言われる学習の基礎となる情報を処理するための能力である認知的スキルが問題になって学習でのつまずきを生じているケースが考えられるのです。

授業に参加することも家庭で学習的な課題を消化することも、漢字の暗記、国語の文章読解、計算、算数、数学の文章題や英語のヒアリングに至るまでワーキングメモリを使わずに学習することはありません。ワーキングメモリは「脳のメモ帳」と言った考え方があります。学習に必要なことは学習の取り組むための順番を取り決めたり、取り組みやすいプロセスを考えたり、今まで覚えた知識や処理するパターンやイメージを重なり合わせて頭で問題の解法を思い浮かべたり立式するのに役立ちます。またADHDの特性である気が逸れてしまって勉強に集中しなければいけない時にもワーキングメモリは重要な役割を担います。

宿題などはワークシートや宿題のプリントに解答を記述しなければなりません。また問題が書かれた文章をどの教科でも読んで理解する必要があります。その際にワーキングメモリを必要とします。そして導き出した解答を問題集やノート、プリントの書き込む作業を必要とします。そうなると「読む」「書く」の能力が必要になってきます。最新の限局性学習障害とはこのような「読む」「書く」「計算する」などの力にあらわれることが多く、情報を処理する際の能力の凸凹が関係していると言われています。まさしくワーキングメモリの特性が関与していることが考えられるのです。

潜在的な持っているこのような発達の偏りから生じる凸凹は、彼らの学習意欲や自己肯定感にも密接に関係しているので今まで学習するために置かれた環境がマッチせずに彼らの特性に負荷をかける結果になってしまうとADHDの特性である「不注意性」や「投げやりな態度」や「集中力の無さ」を余計引き出してしまうことになり学習に取り組むことを阻害ししてしまう結果になるでしょう。だからこそ学習に取り組ませるプロセスを考える際に非常に重要なポイントになるのです。

もともと記憶とは、健常の人でも20分後に42%、1時間後は56%、9時間後は64%、6日後は76%の割合で忘却しまうものです。忘却を食い止める方法は、一定時間すぎたあとに繰り返し復習するしかないとされています。学習したその日の夜、1日後、3日後、1週後と定期的に繰り返して復習することが不可欠です。視覚、聴覚、いわゆる目や耳などの五感から入ってく情報がほんの数秒間だけ記憶として保持されます。このような記憶はすぐ消去されてしまいます。このような記憶が感覚記憶と言われています。この感覚記憶のなかで興味や関心があることや自分の中で意味のあることだと選択された記憶が短期記憶として残ります。感覚記憶よりも少し長い数秒間から数分程度保持される記憶が短期記憶です。短期記憶を「長期記憶」にする過程があります。長期記憶へとつなげるためには反復学習が必要です。勉強で学んだことを何度も繰り返し、復習するわけです。短期貯蔵庫に一時保存された情報を繰り返し復唱して記憶を強化する過程がこれにあたります。

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