『愛着障害と複雑性PTSD』
2025年6月21日
著 岡田尊司
出版 幻冬舎新書
出版日 2024年9月
普通学級で特別支援教育を必要としている子どもたちが全国で約8.8%いると言われてもうすでに2年近くが経過しています。文科省統計が発表されてから書店では発達障害関係の本の販売が毎月出版され、書店では軒を連ねて書棚を賑わせています。この統計は診断名ではなく教員が判断した特別支援を必要としているかの子どもたちの基準です。そして、そのような子どもたちは医療機関で診察を受けても診断名がつかない子どもたちが非常に多くなっているとのことなのです。
愛着障害は、子どもに発達障害があると母子関係が形成しづらく、愛着の問題を抱えやすいと一般的には言われています。このような子どもは成長過程で発達の歪みを生じやすく、問題行動が多くみられ、学校環境の不適応などの経験から複雑性PTSDを抱えているケースが家庭環境以外の要因でも少なくありません。そのような子どもが大人になると「対人関係がうまくいかない」「情緒が不安定であり、アイデンティティの確立が困難で自分の人生の選択の場面で進路などの決定が自分でできない」といったつまずきを抱えるようになります。複雑性PTSDは、時に統合失調症や境界性人格障害などの間違われやすい症状が見られるケースがあり、診断名が非常につきにくい状況が多いと思います。誤診されたケースでは、間違った薬を処方され症状が悪化したケースもあります。
愛着トラウマを抱えた人は、虐待や搾取を繰り返す親やパートナーとさえも離れられず、見捨てられることへの強い不安があり、依存性が強く、1人では生きていけない思い込みが強いことが特性です。そしてトラウマの苦痛から逃げれば逃げるほど強まってしまうのです。