高等部:高等部通信5月号 学園長ブログ~可能性のとびら~ -6

2024年6月3日

6、高等部での授業とレポート課題について

連休が明けて、新入生も学校生活に慣れ始め、いよいよ各学年とも前期学力考査の出題範囲にも重なるレポート課題に、本格的に取り組まなければいけない時期になり授業も活気を帯びてきています。

全日制で授業に取り組んでいる通信制高校の学習センターなどの生徒は、単位認定基準としてレポート課題の提出が学力考査の受験資格を得るための条件であり、スクーリングも兼ねた各教科の平常授業における重要な位置づけとしてレポート指導を行っています。レポートを期限内に提出するためには授業に出席することが絶対条件になります。

新入生の中には、中学校時代からワークなどの宿題に悩み、宿題を提出できないから学校に行きたくない、試験も受けたくないと、学校から出される課題に対して神経質になり、やがては勉強そのものに対しても投げやりになり「どうせできないからいいや」、「勉強なんかやってもしょうがない」という気持ちを抱いていた人も少なくないでしょう。

本来レポートもワーク等と同様、視覚的な認知力が弱く、教科書を読むことや黒板の字を書き写すこと、漢字や英単語を覚えることが苦手な人たちにとっては、自分一人で課題を解いてレポートの答えを書き込む作業は、苦手としていることの一つだと思います。まして発達障害がある子どもたちの特性として先を見通す力が弱いことによって、宿題などを決められた期限までに提出することは、そのための工程が頭に浮かばないので「いつ」、「どのように」やったらよいかわからないのです。

自然学園では、レポートを家庭学習としてやらせることはありません。中学校時代の勉強の遅れを配慮にいれて授業内容を進めていくことになります。聞くことが苦手な生徒には、必要ならば個別対応で具体的なイラストや写真をプロジェクターなどで見せながら、重要な項目を一つひとつゆっくり説明していく授業を展開していくこともあります。勉強が苦手なお子様でも、とてもわかりやすく感じてもらえると思います。黒板をノートに写すことが苦手な子どもたちには、黒板にまとめた要点のみを書き写させるように工夫しています。

教科学習のつまずきにおいては、「先生の説明が、早口で何を言っているのかわからない」、「黒板に書くことが多く書くスピードも速いので、ノートに書ききれないが中学校の先生と違って待ってくれない」など個々への配慮が無いことを理由に挙げる生徒が最も多いように思われます。次に学習内容が急に難しくなりすぎて対応できないことを挙げています。視覚的な認知の弱さがある生徒(読字的、書字的)は、ノートや教科書だけを頼りに予習、復習をしていかないと理解できない高等学校の授業にいっぱいいっぱいなようです。試験間近は、追い詰められたような喪失感を抱き、自信を無くしている生徒が多いように思います。このような学習面でのつまずきに対して、高校の場合は自分で克服する以外道がないのです。個々への配慮が無い高等学校では、このことが学習性無気力の状況を引き起こし、すでに居場所をなくしている生徒が少なくありません。

学習性無気力の状態とは、漢字の習得ができないと一方的に叱責されたり、できないことを無理やりやらされたりして、その外的苦痛から逃れることができないときに生まれる未学習です。未学習とは苦手なことから意識的、無意識的に逃れようとして、経験し習得しなければいけない学習を身に付けることのできない状況を指します。彼らのモチベーションを上げるには、「できた、ほめられた」という経験を積むこと。これこそが、やる気や意欲につながり、苦手だった課題が対処すべき課題になり、学校生活の意欲にもつながっています。

 自然学園がお預かりしている子どもたちは、学習に必要とされる全ての力が弱く、知的なつまずきがある訳ではありません。子どもたちそれぞれの得意な認知の仕方に気付かせ(または認知しやすい環境を提供し)、苦手である認知のつまずきを補うことで必ず学習成果が出てくるのです。そのような意味でも、いよいよ高等部の本格的な授業がスタートしました。十分遅れは取り戻せるので安心してください。

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