[高等部通信11月号]学園長より~可能性の扉~⑤-2

2019年1月8日

挨拶は人とのコミュニケーションを図るうえでも重要な振る舞いの一つです。相手に受け入れられ、自分の苦手さに対して手を差し伸べてもらえるには、相手に受け入れてもらえるソーシャルスキルが必要になります。挨拶はそのために必要なスキルです。SSTで挨拶だけを練習させてもあまり社会で役に立ちません。相手の目線もあわせられないまま、相手の表情を見る余裕がなければ、挨拶からは人との関係は結びつくことができないのです。挨拶には、相手に対しての認知力が求められてきます。その時の相手の気持ちや体調を表情やしぐさから読み取ることで、そのあとのコミュニケーションに結びついてくのです。そしてその積み重ねが人の信頼関係を構築していきます。それを学ぶことがSSTだと思っています。

選択性の緘黙症があり人前で言葉を発することが困難な人の場合には頭を下げる挨拶の行為だけでその人の気持ちや誠意が相手に伝わることがあります。
人の気持ちは受け取る人の感情に左右されることがほとんどであるので、その人の困難さを理解したうえで適切な指導をしなければなりません。
その困難さは、その子どもの持つ特性によってさまざまです。たとえば、衝動性が高く感情のコントロールが苦手な子どもは、わがままで乱暴な子と誤解されたりします。また、人の表情が読み取りにくく場の雰囲気を理解しにくい子どもは風変わりな子・自分勝手な子と思われて友達との人間関係がうまく築けず集団生活が送りにくかったりしています。特に、集団の中に入りにくい子どもにとっては、人との関わりの場を持つことが少なく、スキルの獲得が困難になりやすい傾向があります。
そのため、このような対人関係につまずきを示す子どもたちがそれぞれの発達段階において獲得すべきスキルの習得のためにはソーシャル・スキル・トレーニングが必要となるのです。

そして有益なSSTをすすめるためには一人ひとりにお子様の特性を理解することが必要になってきます。家庭での理解も大切な要素になります。バンブー教室の冬期講習で始めさせていただいたペアトレSST講座は、保護者にお子様の特性を理解してもらい、より良い行動を多くするための適切な対応を学んでいただくため講座です。自然学園高等部でも保護者の方々に、定期講演会をはじめとして、保護者会などを通じて、お子様の発達のつまずきの特性を理解してもらい、お子様が日常生活の息苦しさを解消して、好ましくない、相手に受け入れてもらえない行動や振る舞いが、少しでも好ましい行動に改善することを行うためには、お子様とどのように接していったらよいかをご理解いただき、一緒にお子様の療育も含めた教育的な支援に取り組んでいきたいと考えています。

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