第20回定期講演会のご報告
2025年10月1日
『「発達障害の子どもと生きる」~発達障害の特性を生かして働くための家庭でのキャリア教育~』
講演 松為信雄先生
9月7日(日)、自然学園では春日部市役所「ひだまりホール」をお借りして、第20回定期講演会を開催いたしました。現代のキャリアの考え方では『進路選択は「汽車に乗せる」から「自動車を運転」の時代になっている』こと。自分でエンジンをかけながら(動機づけしながら)、道路を自分で探していく(自己決定していく)ことが求められていることを話されていました。そして車のオーナーは自分自身であるとのことです。自分の将来的な進路や夢は両親など身近な第三者が決めることではなく、自分で考えて決めていかなければいけません。この自己決定のプロセスが重要であり、自分で選んだ進路や職場において多くの充実感・達成感が生まれ、その結果、自己有用感・肯定感が育まれ、そのことが将来への展望となるとのお話がありました。
現実的な問題として、合理的配慮は企業に義務付けられてはいますが、上記した自己有用感・肯定感が育まれ定着する職場を選ぶなら、配慮がある職場を選ぶよりも、配慮が少なくても自分の適性を活かせる職場選びが必須になります。自己の特性やスキルをプロファイルしながら「できる仕事」を選択し、実際に経験しながらその選択が適切かどうかを見直し、自分のプロファイルに適合する職務設計を進めることが能力の個人差が多い発達障害傾向の人たちには重要です。その過程を自分で試行錯誤しながら自分自身で決定し、自分のキャリアに責任を持つことが何よりも優先する考え方であるとお話しされていました。
実際に障害者就労で多くの人材を採用されている特例子会社であっても、普通就労で採用されている親会社から出向している人たちが一定数を占めています。当然、業務に関する特別扱いは期待できません。特別支援学校など教員の数も多く、少人数で手厚く指導を受けられていた環境が職場では一転する訳です。現実問題としてキャリアを積みながら豊かな人生を歩むことは偶然性が大きく左右します。初めての職場で任された業務や人間関係の積み重ねが、自分にとってやりがいのある適職を見つけるもっとも確かなプロセスになります。前向きな努力で乗り越えた一つひとつの経験、足跡が社会人としての成長を促し、個人のスキルを育むことに繋がります。もう保護者が彼らのキャリアの道を拓き、レールに乗せて人生を共に歩むことは不可能です。そのような時代ではないのです。そのために、家庭でのキャリア教育が重要になってきます。自分のことは自分でできる大人にするためには自己決定力を養うことがキャリア教育の根幹であり、日頃から取り組むことが大事です。子どもに役割を与え、その訓練を実践していくための具体的な施策をお話ししていただきました。ご参加いただいた皆様にも改めて感謝申し上げます。





