[高等部通信3月号]学園長より~可能性の扉~3

2022年3月22日

3、不安な気持ちを小さくするには

不安やストレスを感じている際にふと考えることがその人の行動に大きな影響を与えると考えられています。何かを否定的に考える人の行動は人を傷つけたり、やらなければいけないことから逃げたりして人に迷惑をかける問題行動に繋がるケースが多いのです。

先ほどのいじめの例で言うと、今までのいじめられた経験から「誰かをいじめなければ自分がいじめられてしまう」「自分が阻害される」といった悲観的な未来が待ち受けているものだと確信してしまい、問題行動を起こしてしまうなどです。このような考えは認知(人の考えや信念)の誤りに起因しています。その誤りの原因を突き止め、派生する問題行動を少なくするための行動を実践し、認知の誤りを改善していく療法を「認知行動療法」といい、医療機関や福祉施設、学校での特別支援教育などでプログラムされているSST(ソーシャルスキルトレーニング)などで多く取り入れられています。

不安な気持ちを改善するにはどうしたらよいでしょう。それは自分自身に自信をつけることが一番有効な方法になります。自分自身には、自分でも気付かない、良いところ、悪いところ、できること、できないことがあります。できることには、自分では気付いてないだけで、他の誰よりも優れているところ、他の人にはできないことができることもあるのです。そのことに気付かせてあげること、できることを褒めてあげてもっとできるようにしてあげること。そしてなるべく多くの成功事例を積み重ねることで自分にできるという実感を植え付けていくことが自己肯定感の高さにつながります。それは『自信』となります。自分に自信があれば、自尊心が高まり、心にゆとりが生まれてきます。心のゆとりは、他者を許し、他者の要求や気持ちを、自分の主張より優先させてあげる心の大きさにつながっていきます。それができれば必ず人間関係が今よりうまくいくようになるでしょう。

クラスでもお友達が多くなり、自分を助けてくれたり、認めてくれたりする人たちが多くなり、充実した学校生活を送れるようになるでしょう。そのことは将来の就労するためのスキルと直結するのです。

高等部では、感覚統合、作業訓練やSSTなど苦手さを克服するための学びの場を提供しています。具体的な対応を学ぶことで、学校生活の場面でもほめられることが多くなり、人とつながることに対する積極性が生まれてくるはずです。自信が持てるようになることが社会性の向上の何よりも優れた特効薬です。そのことは人とのつながりや学校生活における不安や緊張を緩和することにも効果を発揮するでしょう。

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