高等部通信 学園長ブログ~可能性の扉~-5

2023年8月3日

5、SST(ソーシャルスキルトレーニング)について

発達障害がある児童生徒は、他者との接点が少ない場面では問題行動といわれる社会不適応性の問題が出にくいと言われています。幼稚園や保育園に入園すると急に周りからお子様の行動に対して指摘されることが多くなってお悩みになる保護者の皆さんが多くなります。

問題行動とは、実際に社会との接点が多くなればなるほど増える傾向があり、社会的な接点が少なければ大きな問題にならないケースは少なくありません。お子様の問題行動があると親の子育てが間違っていると言う人がいますが、問題行動に至るお子様の特性は、お子様の置かれた様々な環境から大きな影響を受けるので、家庭環境や成育歴だけが問題ではないのです。

学校生活など社会との接点で生じたお子様のストレスが、他者に対するいじめや攻撃に結びつくことが多く、嘘をついたり、多動行動が強くなったり、学校でのクラスメートとのトラブルや家庭での兄弟へのいじめなどの問題が生じてきます。家の中で解消しきれない場合、外に向けての反社会的な行動になってしまうこともあります。問題を起こすことで注目してもらいたいという気持ちが問題行動の根底に潜んでいる心理です。

特に発達に特性を持っているお子様は、ソーシャルスキルが経験から身につかず、人の気持ちを理解できないなどの認知の偏りから問題行動や対人トラブルなど生活上のつまずきが起きやすいのです。

応用行動分析学などに詳しい先生方は、お子様の問題行動に対する保護者の皆さんの捉え方が変われば、お子様の行動に変化が現れると仰っています。例えば、乱暴な言葉が多いお子様に、問題児とレッテルを貼るだけでは問題は解決しません。友達との付き合い方や対応を知らないためにこのような行動を身に付けてしまったお子様と捉え、友だちとの付き合い方を教えることで問題行動が減少するお子様だと考えるようにすることなのです。順番待ちができないお子様はルールが身に付いていないと考え、コミュニケーションでの解決を図るための適切な行動やルールを教えてあげることが必要であると言うことなのです。このように、問題行動をなくすのではなくその場に応じた適切な対応を教えることがSST(ソーシャルスキルトレーニング)だと考えています。

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