[高等部通信4月号]学園長より~可能性の扉~4-②

2021年4月26日

(4)学習環境の整備

まず家庭学習に取りかかる前に家庭のどこで学習させるかが問題になります。たとえ、大きな家の家庭でお子様が部屋を持っている家庭でも、ゲーム機が散乱していたり、レゴブロックが敷き詰められていたり、漫画が散乱していたりする学習環境では、すぐに集中が途切れてしまいます。高等部でお預かりしているお子様の特徴は、落ち着きがなくすぐに気が散ってしまうところにあります。他に気が向いてしまったことを怒り、集中を促し勉強することだけに縛り付けても何の効果もありません。反抗するか、部屋から逃げ出してしまうでしょう。勉強をするだけの部屋にするために、必要ないものは収納するかついたてなどで勉強机のまわりを遮断しましょう。カーテンで仕切ることも良いでしょう。その空間はなるべくシンプルにして勉強道具以外はなるべく置かないようにしましょう。特に、目に付くところにはスマホや必要とする時以外の電子辞書・PC・タブレットも厳禁です。目に付くところには一日のスケジュール表と今取り組んでいる予定した時間内での学習計画表を張ってください。それらについては後で説明します。教材、文具以外ではタイマーの付いた小さな置時計だけで充分です。自分の部屋のない人は、部屋の隅のスペースを家具やついたてで囲むか、それがなければカーペットなどで勉強するスペースを確保することが重要です。もっともいけないのは人が集まるリビングや食卓などの環境で、人の話や音楽、YouTube、ラジオ、テレビなどを見たり聞いたりしながらの学習です。

意識の上でも視覚的にもその場所が学習する環境であるということを明確にする空間の設置が必要です。勉強する場所だけではなく、遊びの場所、感情を落ち着かせる場所と視覚的にもわかる空間があれば尚良いと思います。予定された学習時間と消化する学習課題のタイムスケジュールを目で見てすぐに何をやるべきか、この後何をすれば良いかがわかり、どういう手順で実施するかが一目でわかるような学習計画表とスケジュール表を用意すると良いでしょう。一日のスケジュール表はイラストや写真などを張り付け活動そのものがすぐに把握できる工夫をしてください。

 

(5)効果的な学習方法

①やるべき問題を限定し、難しいできない問題はやらない

学習課題をすべてやる必要はありません。できる課題のみ絞って、消化する課題を限定してください。大体一つの課題か飽きの来ない20分程度でできる課題で休憩を挟んで3課題ずつ、6課題ぐらいを目安に計画を立ててください。教科で言うと2,3教科が理想です。

 

その中で、最近取り組みできるようになった課題を1、2課題、何回か演習することで定着した課題を2,3課題、得意とする自信をもってできる課題を1,2課題目安に構成し、最後はできる課題をやり切っていい印象で気分よく学習を終わらせることが大切です。次の学習意欲につながってきます。②読む、書くなど認知のつまずきが起因して対応できない課題は、それを補助する支援を導入する

読むことが苦手な生徒には、文字を大きくする、アンダーラインを読みづらい文に入れる、文章をタブレットのアプリに落とし込み音声化して聞くことで文章を理解する。書くことに苦手な生徒は解答欄を大きくする。解答欄に目安になる縦横の罫線を入れる。解答をパソコンで打ち込むなどの支援を事前に相談し合理的な配慮を申し入れる。記述問題はやらず選択問題を中心に取り組む。

 

③スケジュール表で今日やる課題を確認し、始まりと終わりを明確にする。

予定した順番で消化し、一つの課題が終わるごとにスケジュール表で確認し終了に見通しをつける。

 

④多動行動や飽き、注意散漫に対する支援方法

課題に取り組んでいるときに他のことを考えやりたくなったら、何がやりたくなったのか書き出させ、終了まで持てないのかを1日のスケジュール表と学習予定表での終了見通しを確認させた上で課題の優先を納得させる。(簡単な体操や机の上の整理や消しゴムのカスの掃除など代用行動を勧めることも効果的です。)

 

⑤できたことの充実感を体験させ自己肯定感を高める

予定通りの学習が終了したら、そのことを評価し、ご褒美として事前に取り決めた約束を実行してあげる。そのためには課題の選択がとても大事になります。

 

⑥無理のないスモールステップを課題として提示して毎日の学習をルーティーンワークとして習慣化させる。

 

(4)と(5)が実行できれば上記したように繰り返しの反復学習が家庭学習で学んだ短期記憶の情報がリハーサルされ長期記憶として保存され必ず学力として結果がついてくると思います。このことが自信になり自己肯定感の向上及び学習意欲としてつながってきます。

 

保護者の方におきましては、外出自粛が要請されている中、ご家庭でお子様がいることでご負担が何かと多いと思います。特に学習に関しましては、非常に難しいいお子様方なのでご苦労されていると思います。少しでもご参考になればとの思いで今回は発達障害があるお子様の学習方法についてご説明させていただきました。

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