[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~⑥-1

2017年6月12日

4、発達障害がある子どもたちの学ぶ力

 高等部の入学説明会でも触れさせていただきましたが、発達障害のある子どもたちは、その特徴として認知の弱さや感覚的なアンバランスさがあると言われています。そして通常学級で授業についていけないことや学力不足の原因の一部としてこの認知の偏りが起因しているとされています。

 発達障害がある子どもたちの場合、知的な低さに問題がなく勉強が苦手としているLD(学習障害)傾向をどんな生徒も少なからず有しているケースが見られます。

 認知とは情報を処理する力です。「発達障害と向き合う」幻冬舎ルネッサンス新書 竹内吉和著では、認知能力とは、見る、書く、聞く、話す、覚える、考えるなどの知的機能の総称でいわば学習する力の基礎となる能力だと言っています。

 人間が学ぶときに必要とされる力として、1番目に聞く力、2番目に話す力、3番目に読む力、4番目に書く力、5番目に計算する力、6番目に推論する力であると言っています。結論として人間として一番必要な力は聞く力だと言っています。そして聞く力とは聴覚的短期記憶だと結論づけています。

 聴覚的短期記憶の弱さは母子関係の愛着的な障害を引き起こし、反社会性のつまずきに結びつき、そのつまずきは自閉症の特徴である「社会不適応性」そのものであるとも言っています。

 見ることと聞くことの本質的な違いは、見ることは、消えない情報であり、あとで残る情報であるが、聞くことの情報は一瞬、一瞬消えていく情報であるということです。

 学習面で言うならば、聴覚的短期記憶が弱いというのは学習の場に参加するモチベーションを著しく低下させます。絵や写真、文字カードを使いながら、視覚的な支援をせずに、ただ、説明中心の授業が45分間継続するならば、授業そのものに参加できない状況が生まれ「学習性無力感」が子どもたちに生まれると言っています。

 竹内吉和先生がここでお話しされていることは、私が説明会で繰り返しお話しさせていただいていることと全く同じです。

 自然学園がお預かりしている子どもたちは、学習に必要としているすべての力が弱い知的なつまずきがある訳ではありません。
子どもたちのそれぞれの得意な認知の仕方に気づかせ(または認知しやすい環境を提供し)、苦手である認知のつまずきを補うことで必ず学習成果が出てくのです。

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