[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~4

2020年6月29日

4、入学式

自然学園では、5月28日(木)に入学式がありました。今年もたくさんの新入生を迎えられたことをとてもうれしく思っています。3年生の代表2名も入学する新入生に温かい眼差しを送り、彼らを見守る姿に先輩としての貫録が備わった堂々とした態度を感じました。私には新入生も在校生も頼もしく映りました。この1年、高等部の皆さんが、どんな成長を見せてくれるのかとても楽しみに思っています。保護者の皆様方また今年も温かいご声援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。入学式の式辞を紹介させていただきます。

 

『令和2年度自然学園高等部入学式式辞』

新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が発令されたことにより予定されていた入学式が延期になりました。臨時休校の延長とともに新入生が全員集う機会が大幅に遅れ、新入生の皆様が期待に胸をふくらませながら今日の日を待ちわびていた思いに心を痛め憂鬱な日々が続いていました。皆さんの不安に打ち勝ちながら耐え忍んでいた気持ちを重くこの胸に受け止め、これからの学校生活が笑顔にあふれる輝かしい思い出に変えられるよう全力で皆様を支える覚悟をもってこの式に臨んでおります。

吹く風が夏めく彩りを予感させる今日のよき日、令和2年度自然学園の入学式を挙行することができたことにこれ以上の喜びはありません。保護者の皆様のご臨席を賜る中、入学式が挙行できず誠に申し訳なく思っています。保護者の皆様のご理解に心より感謝を申し上げます。

 

ただ今、入学を許可された新入生の皆さんご入学おめでとうございます。

新入生の皆さんに最初にお話ししたいのは皆さん一人ひとりが、自然学園に自分の居場所を見つけてほしいと言うことです。

新入生の皆さんは、それまでの学校生活において他の人に比べて、できないことに強い劣等感を持って、比較されること自体から逃れたい衝動が強く、そのことに向き合い本気で取り組む意欲を持たないままやり過ごしてきた人たちが多いように思います。そのような環境では、当然自尊感情は育たず、自分に自信がなく周りの人の目を気にしながら過ごしてきた学校生活ではないでしょうか。

自分自身で自分が認められなければ、人を受け入れることは到底できません。自分を受け入れることができて初めて人と繋がる社会性が育まれるのです。自分自身に自信が持てなくなったきっかけは、人との比較の中で「できること」「できないこと」を評価され、「できないこと」が多い人は評価されず、人から認められないと言う環境に晒され、そんな中では自分の居場所が感じられなくなったからだと思います。

「できないこと」はいけないことなのでしょうか。「できないこと」はその人が自分らしく人生を生きるための重要な全てなのでしょうか。私はそうではないと思います。人は誰でも「できること」「できないこと」「得意なこと」「苦手なこと」があってそれがその人の個性となります。一人ひとりが違っているから人間なのです。そしてその違いの中でそれぞれの役割を担って社会が成り立っているのです。「一隅を照らす」と言う言葉があるようにそれぞれの役割を精一杯、その人を必要としてくれる人たちのために遂行することこそ社会が一番必要としていることだと思います。

 

手洗い・うがいなどの感染予防と外出の自粛など今皆さんがそれぞれできることを粛々と取り組み、新型コロナ感染症の収束に努めることが「一隅を照らす」ことになるでしょう。今社会で言われている三密(密閉・密集・密接)を防ぐことは、他者を意識して、自分のことだけではなく、自分を取り巻く人たち(社会)のことを考えなければ、実践できない取り組みだと思います。そのような意味で自然学園では、3年間かけて社会性を育む訓練をいち早く行っているのです。まわりの人たちのことを大切に思えば思うほどその意識は高くなります。周りの人たちはクラスメートのことでもあります。

 

「できないこと」「できること」のすべてを受け入れてくれる環境、皆さんが置かれたクラスと言うコミュニティーが「できない」ことがある自分がいてもいいと認めてくれる環境が皆さんの居場所になると私は思っています。

 

そのためには皆さんがまず、自分自身を受け入れてほしいと思っています。そうすれば必ず、皆さんの置かれた環境が皆さんの居場所になるはずです。皆さんはその居場所を大切にしながら社会に出るために必要な社会性を必ず育むことができるはずです。

 

最後に、私たち教職員は、お預かりしたお子様の希望実現に向け、全力で教育にあたります。コロナ終息の際にはお気軽に学校へ足をお運びいただき、ご意見・ご要望をお寄せいただくなど、ご家庭と学校が密接に連携を取り合いながら、共に手を携えてより良い学校づくりをしていきたいと考えております。

 

今後とも自然学園への絶大なるご支援・御協力を重ねてお願いし、式辞といたします。

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