[高等部通信9月号①]学園長より~可能性の扉~④

2016年4月1日

ではこのようなことも踏まえて企業はどのようなことを雇用に対して求めているのでしょうか。『発達障害の子どもと生きる』松為信雄 幻冬舎ルネッサンスに記載されている内容を抜粋します。

  • ・毎日時間通りに出社できる
  • ・働くことの意味(給料が仕事の成果に対して支払われていること)を理解している
  • ・仲間と強調できる
  • ・指示を理解し従うことができる
  • ・「数える」「折る」「封入する」などの基本作業が正確にできる
  • ・報告・連絡・相談ができる

逆に企業にとって困るのは、次のような人たちです。

  • ・たびたび休む人や遅刻、早退が多い人
  • ・他の人と協調出来ない人やルールが守れない人
  • ・挨拶や服装、身だしなみなどの基本ができない人

(以上抜粋)

私はこれらに付け加えて、障害者雇用であっても以下のことは採用の条件だと思います。

  • ・人の話は素直に耳を傾け、仕事の指示を嫌な顔せず受け入れて実行できる人。
  • ・明るくいつも元気な人。
  • ・何事も粘り強く前向きに頑張れる人。
  • ・人に助けを求められ、他の職員にも自分のできる範囲の手助けがすすんでできる人。
  • ・他人を攻撃したり、批判しない人。
  • ・勝手な判断で業務を遂行しない人。

この条件を満たすための人材を育てるためには、1年生からキャリア教育を推進して、「自分には何が向いていて、何ができるのか。」「働くことに意義はなにか。」「働くとは具体的にはどういうことなのか」について就労体験を通しながら具体的に考えさせ、自分なりの答えが導き出せるようなキャリア学習を3学年を通した継続的な指導で実践しています。

2011年1月に、中央教育審議会がまとめた「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」が答申され、キャリア教育を「一人一人の社会的・職業的な自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と規定しています。そこで必要とされる4つの能力として「人間関係形成能力・社会形成能力」・「自己理解・自己管理能力」・「課題対応能力」・「キャリアプランニング能力」を挙げています。

1つ目の「人間関係形成能力・社会形成能力」とは、「他者の価値観やユニークさを理解して受け入れる。」「異なる年令の人や異性など、多様の他者と場に応じた適切なコミュニケーションを図る」「リーダーフォローファーシップを発揮して、相手の能力を引き出し、チームワークを高める。」能力などを習得することが目標になります。

2つめの「自己理解・自己管理能力」は、自己の職業的な能力や適性を理解して、それを伸ばそうとする能力を習得することが目標になります。

3つめの「課題対応能力」は、「職業についての総合的で、現実的な理解に基づいて将来を設計し、進路計画を立案する」「将来設計や進路実現を目指して課題を設定し、その解決に取り組む」能力などを習得することが目標になります。

4つめの「キャリアプランニング能力」は、「将来設計に基づいて今やるべき課題を理解する。」「多様な職業観、勤労観を理解し、職業・勤労に対する理解・認識を深める。」「職業生活における権利・義務や責任及び職業に就く手続き・方法などがわかる。」能力を習得することが目標になります。

これらの目標に根差し、自然学園では、発達のつまずきがある子どもたちに、具体的に様々な体験などを通してそれぞれの特性や能力に合った目標を持たせ、学ばせていくことを総合学習やソーシャル・スキル・トレーニング、学校行事、ホームルーム、キャリア学習講座、企業見学会、就労実習等を通して計画的に実践しています。

この夏の努力の結果と秋からのもうひと頑張りの踏ん張りが合格に結び付くことを信じています。ゴールに向かって歯を食いしばって頑張りましょう。全力で支援していきます。

(つづく)

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