高等部通信9月号 ◎学園長より ~可能性の扉~-6

2023年10月23日

6、第10回自然学園体育祭について

高等部通信新学期特別編集号でもお知らせしたように、10月8日(日)に、第10回体育祭が行われます。

運動会や学校の体育の授業が嫌いな子どもたちは、勝ち負けにこだわりパニックになったり、協調運動など感覚的なつまずきから粗大運動が苦手で運動会や体育の授業で失笑を買ったり、チームが負けた責任をかぶせられたり、動きが遅れたり周りに合わせられなかったりして教員から注意を受けたりした負の記憶がある人たちが多いと思います。また、感覚過敏が強い人たちは、スピーカーから流れる音楽や大声、ピストルの音など耐えがたい環境が運動会にはそろっています。自然学園では、勝ち負けのこだわりを少しでも少なくするために障害物競走を取り入れ、脚力だけではない勝ち負けの要素を付加しました。また、その際のジャンケンも負けた感を強くもたないために旗揚げ上げジャンケンを導入するなど、三密を防ぐ工夫以外にも細部にわたり考えられるだけの工夫を凝らした体育祭を心がけています。

現在は「ゆるスポーツ」という言葉があり、「ゆるスポーツ協会」が中心となって障害者でも楽しくできるスポーツの取り組みをしているようです。「ゾンビサッカー」「イモムシラグビー」「こたつホッケー」「ハンドソープボール」など、勝ち負けにこだわらず、身体能力や性別、年齢に関係なく、誰でも楽しく体を動かし参加できスポーツの楽しさを体感できるスポーツが「ゆるスポーツ」です。私も先日、テレビで「ゆるスポーツ」を紹介していた番組を見ました。これを見て、自然学園の体育祭で以前から取り組んでいる種目の一つである「障害物競走」を想起しました。まさしく運動神経や発達障害の特性のひとつである感覚統合などの問題にも関係が少なく、発達性協調運動障害の人たちでも楽しく競える競技です。同じコンセプトで取り入れられている「ゆるスポーツ」の種目と同じように、誰でも参加できる競技です。

すでに10回を数える自然学園の体育祭で運動会が好きになったと話している人たちは卒業生を含めて大勢います。自然学園の体育祭を機に学校行事や学芸会、運動会、音楽祭などを苦手としている気持ちが少なくなることを願っています。

「大玉ころがし」、「台風の目」は大玉や棒をうまくコントロールしながら、スピーディーに操作する競技です。昨年度は、速く走ること、操作することの同時処理に苦心しながら操作のコツをつかもうと努力している生徒の様子を見ることができました。今年度、障害物競走、選抜リレーに参加を申し入れてくれた選手の皆さん、本番の活躍を期待しています。

相手との勝ち負けではなく、自分に負けないことを目標に全力を出し尽くすことが、体育祭を通して皆さんに経験してほしいことです。最後まであきらめない、自分に負けないそんな生徒の気持ちが見ている人たちにも十分伝わるような体育祭を期待しています。

自然学園の体育の授業では、できないことをできるようにする一人ひとりのつまずきに応じた課題を克服する支援から始めていきます。体育祭では、なるべく次の動作がしやすいような指示を具体的に提示することに気をつけ、認知的なつまずきをカバーしていきます。勝敗よりも競技に参加する楽しさが実感できるような合理的配慮を取り入れていきます。体を動かすことや小中学校の時代に体育の授業を苦手としていた人も、精一杯我を忘れて競技に打ち込む生徒の姿が見られる体育祭になるように準備を進めています。

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