[高等部通信 おもいやり 1月新年特別号]学園長より~可能性の扉~④-2

2019年2月19日

発達障害がある人たちには、同時処理力や継次処理力を要求される複雑な業務でさえ、やりこなせる能力があることを企業から求められています。
発達障害の人たちは、やるべき手順ややり方、こなさなければいけない分量などが明確になっていれば、不安が少なくなり人並み以上の集中力で正確に仕事が消化できる人たちが多いのです。人付き合いが苦手で、言葉の巧みさを持ち合わせてない人でも事務処理や入力作業などは、業務を限定し作業工程を一律にマニュアル化することで、先の見通しがつくようになり、次の作業が図れるようになる人が多いのです。

そのことを踏まえて自然学園では、企業に受け入れてもらえるための社会倫理やビジネスマナーを教えて、会社の理念やルールに沿った行動が実行でき、ほかの社員と歩調をあわせて協調できる社会的なスキルを獲得させることに力を入れています。そして自分の欠点を把握させることからはじまり、認知の偏りの対策としてメモや確認作業を徹底させ、トラブルの報告、困ったときの相談がスムーズにできるようなグループワークを重視して職場に適応できるためのスキルを教えています。SSTやビジネスマナーなどが上記に相当する授業になります。また人との関わりが苦手で、相手の立場に立って人の気持ちを考えられない特性を持ち合わせている人は、ソーシャル・スキル・トレーニングなどの授業があり、まわりの人たちとうまくつきあうための実践スキルを養成する講座になります。このように授業で学んだSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を日常生活や体験就労や就職ができた際の職場などで実践し使いこなせることを般化といい、そのための実践的なトレーニングの場面としてサマーキャンプやスキー教室、音楽祭や学園祭、藤まつりでの模擬店などがあります。11月に行った芸術文化鑑賞会の際に、生徒に自宅から電車を乗りついで現地集合をさせたことは、芸術文化鑑賞会の目的の一つが、企業の体験就労に必ず要求される「一人での交通機関を使った通勤ができること」と言うテーマが盛り込まれているからです。

自然学園では、1年生から企業見学会を行い、2年生から体験就労を体験授業のカリキュラムとして導入しています。企業は、入社の条件のひとつとして「一人での交通機関を使った通勤ができること」を挙げています。当然実習の時からそのことは要求されてくるのです。両親の送り迎えなしに、通勤することができなければ採用を敬遠されるのは当たり前のことです。そのための実践的なSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を学習する機会として学校行事や体験授業があり、班行動や連携を必要とするグループワークでの作業などを通して人の共同作業をはじめ協調、協働のために必要なソーシャルスキルを学ぶのです。

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