[高等部通信1月号]学園長より~可能性の扉~2

2022年1月13日

2、2学期終業式学園長挨拶

2学期を締めくくる終業式を実施しました。私が皆様にどんな話をしたかまとめたので、話を聞き逃した人も読んで思い起こしてみてください。

今年はオリンピックの年でした。数々の競技でアスリートたちに感動を与えてもらいました。私個人としては女子ソフトボール、野球、男女のバスケットボールは、テレビ画面に釘付けになりました。その中でも男女バスケットボールは身長差でも日本人はかなり不利だとされていた種目ですが、2メートルを優に超す外国人選手に対して一歩も譲らず堂々と競い合っていた姿に心が打たれました。チームワークと個人を生かすチームプレイに徹した選手一人ひとりの勇姿が目に焼き付いて離れません。

『私は「一隅を照らす」という天台宗の開祖最澄の言葉が好きで、在籍生の皆さんにはことあるごとにお話ししてきました。団体スポーツの魅力である、自分の役割、自分のできることをただひたすら遂行し努力することがチームの勝利つながるメンタリティーは、「一隅を照らす」の言葉が示す意味そのままです。

生徒の皆さんは、どうしてもできないことがあり、そのことで他のお子様と比較され自信がなくなっている人たちが多いことでしょう。しかし、皆さんにはできることが必ずあります。自分のできることや得意なことを突き進めれば、人から認められ人の役に立つことが必ずあります。一隅とは、人の気が付かない目立たない場所ということです。その自分の置かれた場所、自分のいるポジション、自分が必要とされる居場所で精一杯頑張ることが「照らす」と言うことです。それができる人こそ何より尊く、国の宝だと言うことを最澄は仰っているのです。

海外でのオミクロン株やデルタ株による感染再拡大が深刻な状況であるのにも関わらず、日本は今のところ感染拡大が抑えられています。その理由については日本人の体質の問題や、ファイザー社のワクチン接種率が高いことなどを指摘する声があり、いまだに理由は不明確ですが、日本人のマスク着用の徹底などの感染対策を大きな理由としている意見も少なくありません。

これらは日本人の高い社会性が起因しているのではないでしょうか。マスクの着用は人への感染を抑制する感染防止対策であり、人に迷惑をかけたくないという思いやりからくる考え方が前提としてあるのだと思います。そのことが大多数の人が個人主義的な行動欲求を抑制している一因になっているように思います。

個人の意見を我慢して自分の心にしまい込むことは美徳ではありません。ですが、今我々が直面している状況を俯瞰的に考え、全体の利益になる行動を一人ひとりが心がけることは、高い社会性が要求されることでありソーシャルスキルの原点です。皆さんが企業実習を経験すると働くうえで必要とされる絶対的な就業スキルとも言えると思います。

日本人は元来、個を犠牲にして、家族や自分が関わるコミュニティを守り大切にすることが美徳とされ、日本人のメンタリティーは今でこそその価値観が変わってきていますが、戦後の飛躍的な産業復興を成し得た一つの要因であったように思います。

企業は利益のために、個々の役割を遂行し、組織に準じた協働を求めているのです。今回の思いやり収穫祭のテーマである「協力」は、以前お話ししたように社会に出る際に必要とされる社会性の基盤を成すものです。社会に出ることを目的として学校生活を送っている自然学園の生徒の皆さんは、いつの間にかこのようなソーシャルスキルが身についていることを今回改めて実感しました。一人ひとりが3密対策を家庭生活でも学校生活でも実施できた結果、自然学園ではデルタ株の流行の最中でもクラスターが起きることはありませんでした。そんな生徒の皆さんを保護者の皆様からお預かりしていることを誇りに思っています。』(一部抜粋 要約)

高校3年生は1月の卒業試験(卒業単位認定試験)を控え、高等部1、2年生も2月の学力考査(後期試験)を控えているので風邪などひかないように気を付けて過ごしましょう。

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