[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~2

2021年10月4日

2、2学期に情緒が混乱しやすい原因について(低気圧や台風の心因的な影響について)

先日の新聞の報道では『コロナ禍の学習状況について、研究者のグループが小中高校生らに尋ねたところ、約5割が「授業の内容が難しすぎると思う」、約4割が「授業の進み方が早すぎて、内容がわからない」、約3割が「学校の宿題や課題が多くなり負担が増えたように感じる」と答えていたことがわかった。研究者は「コロナの影響を子ども目線でとらえることが必要だ」と話す。』とのことでした。この報道からもお子様がいかにコロナ禍での状況でストレスを抱えているかがわかります。

このような現状が不安を抱えているお子様の精神状態に不安をもたらすとともに、気候などの要因がいくつか重なって拍車をかけていると考えられます。当然、前回お話しした自殺者の増加や不登校の増加にも大きな関連性があるように思います。今月号は低気圧や台風など気候と気分の浮き沈みの関係についてお話しさせていただきます。

9月に入ると台風の季節になり気圧の関係で精神的な不安定さが強くなるといわれています。9月、10月は台風が多いシーズンです。台風は、気圧の変化が急激なうえ、移動のスピードが速いので、体調不良を訴える人が多いです。夏場によく発生する局地的大雨も、このような気象病を招きます。このような局地的大雨は、積乱雲によってもたらされます。一つの積乱雲の大きさは十数キロメートル程度なので、日本全体が表示される天気図には「低気圧」とは表示されません。しかし、積乱雲のあるところには激しい上昇気流が起こっています。上昇気流が起こっているということは気圧が低いということです。積乱雲ができれば急激に気圧が下がるので、気象病が起こるというわけです。

台風の影響で雨が多いこの時期は、体調の変化が起きやすく、発達のつまずきで生きづらさがある子どもたちや、鬱傾向の人は、未就学児童から小中学生、高校生、大人に至るまで10月、11月は1年の中で最も精神的に不安定になる時期だと言われています。いつもより多動傾向が強くなったり、衝動性が強くトラブルやパニック的な行動を起こしやすくなります。

2学期は学校行事が多い時期でもあるので、学校でのトラブルも多い時期です。聴覚過敏の生徒で、普段からざわざわしている状況が普段から苦手な生徒は運動会や学習発表会、合唱祭など学校行事は練習の参加からイライラする場面が多くなるでしょう。気持ちのゆとりのなさは不注意性や衝動性を強くさせるので、このような状況下では他者とのトラブルが起こりやすくなります。

これに加えて、コロナ禍でのストレスや思春期のもやもやなど、ダブル、トリプルでのストレスを背負う可能性が高いブルーな時期をお子様方は過ごしています。

また、トラブルから生じる不安が情緒の混乱に繋がり、不眠、起きられない、発熱、腹痛などの身体症状が伴い「行き渋り」「不登校」の段階を踏むと、ほとんどが長期化しています。

保護者の方々が十分に彼らの変化を見逃さないように心がけ、まわりにいる大人が、特性を理解してあげながら、配慮を実践すれば大きな問題は防ぐことができると思います。

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