[高等部通信10月号]学園長より~可能性の扉~3

2021年10月7日

3、発達障害の2次障害について

 思春期にうまく人間関係を構築することができず、孤立を深めるお子様は少なくありません。元々コミュニケーションが苦手な自閉症スペクトラムなどの発達障害があるお子様は、クラスの他の生徒と比べて異質と見られやすく、人間関係のトラブルが発生するリスクが高いです。また、思春期は攻撃性が現れやすい時期です。そのため、いじめを含めて様々な攻撃的な言動に出やすくなります。

いじめの被害を受ける可能性があるお子様は発達障害の特性があり、空気が読みづらく、周りの人たちと協調できずコミュニケーションが一方的になりがちなお子様や、不器用性があり、運動の苦手なお子様は孤立しやすく、いじめのターゲットとなりやすいです。

その結果、教室に居場所がなくなり、自己肯定感は低くなり、不安の強さが情緒の混乱に繋がります。このように、精神的な不安が強迫性障害やうつ病、不安障害など精神疾患と合併して、家庭や学校での問題行動と合わせて社会適応の困難さを生じる現象を2次障害と言います。先にご説明した通り不登校や引きこもり、家庭内暴力、自傷行為、教員や同級生への暴言や暴力などの人間関係のトラブルや、拒食や過食などに繋がるケースもあります。

2次障害に繋がるケースはこれだけではありません。「甘える」や「誰かを信頼する」などの経験値が極端に低いため、自分に向けられる愛情や好意に対しての応答が、怒りや無関心となってしまう状態を愛着障害と言いますが、幼児期の愛着形成に何らかの問題を抱えて発達にゆがみが生じて成長した状態でもあります。愛着とは医学的には特定の人に対する情緒的な絆を表しています。先天的な発達障害や、生まれ育った環境に関係がある愛着問題からくる「人格障害」などの精神疾患が2次障害の要因に考えられるお子様も少なくないのです。

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