高等部通信11月号 ◎学園長より ~可能性の扉~-3

2023年12月22日

3、第15回自然学園『思いやり収穫祭(模擬店、展示会)』の報告

生徒の皆さんが、工夫を凝らして実施する模擬店は、今まで以上に皆さんのアイディア、話し合い、チームワークといった高いグループワークが求められました。だからこそ、自然学園の生徒の皆さんの絆がさらに強いものになり、今までにない盛り上がりを見せてくれました。各クラスの模擬店の売上高は提供した商品の個数と比例しています。これが、ご来場頂いたお客様にどれだけ喜んでいただけたかの目安になります。商品は各学年ブッキングしないように、また、小学部、中学部、大学部、そして高校部の年齢差を配慮して提供する商品の条件を設け、その中でクラスごと考えてもらいました。その上で先生方にも事前に相談してもらっています。ドリンク類やデザートなどを担当するクラスは単価が低いので、売り上げで差がつきやすくなります。その分、クラスのまとまりや作業における協働性などを評価の目安に、模擬店大賞として表彰しました。大賞は高等部3年生、学園長賞は高等部1年生と小学部が受賞しました。

各クラスで出店した模擬店は、生徒が主体的に協力しながら、できるだけ安全に配慮し、飛沫が飛ばないような細心の注意を払い、安心して口に運んでいただける商品の提供を目指しました。高等部2年生、3年生はなるべく多くのお客さんに喜んでもらえるような商品を提供して売り上げを出すという目標をもって、商品の調理、販売、呼び込み、材料の仕入れ・管理、片付け、食器、調理器具の洗浄など、それぞれの役割の中で企画段階から熱心に取り組んでいました。高等部3年生の商品力の高さ、お客さんに喜んでもらえるような商品の選び方や販売計画の立案力には圧倒されました。売り上げも高等部3学年生が他のクラスを凌駕していました。

自分が遂行した業務を喜んでくれる人たちのために働くこと。そのことにやりがいを感じて、より喜んでもらえるために自己研鑽を図り努力すること。これらを体感することが、自然学園で行う学校行事の大きな意義だと思っています。自然学園は体験授業を積極的に取り入れていますが、実際に行動として経験してみることで、日頃からSST(ソーシャルスキルトレーニング)で学んでいる「協調性」、「協働」、「トラブルがあったときの問題解決のスキル」、「社会的な秩序・礼儀を踏まえた、人に対する態度や言葉遣いなど社会性の育成」などは、実践で繰り返し学ぶ経験から般化できるものです。

それぞれの役割を誠実に遂行して、クラスメートとの「ほう・れん・そう」(報告・連絡・相談)ができなければ、お客さんの注文を受けて調理を開始し、盛りつけまでを手早く行い、接客担当者がお客様に料理をお届けするという連携はできません。ビジネスマナーで必ず学ぶ敬語や「お待たせしました」、「ありがとうございます」、「申し訳ございませんでした」、「承知いたしました」などの必須事項が接客には全て含まれています。食品の調理には、生徒にとって苦手な視空間的なワーキングメモリや言語的短期記憶などの認知的な処理を必要とする継次処理力や同時処理力がないと一連の作業が完遂しません。授業で学んだ苦手さを作業スキルやSSTなどでのグループワーク等でおさらいして、必死に苦手さと対峙した様子が垣間見られました。

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