[高等部通信11月号]学園長より~可能性の扉~③

2018年1月4日

3、自然学園 学園祭(思いやり収穫祭)2日目、模擬店、展示会

 

各クラスで出店した模擬店は、保護者の皆様にお手伝いいただくことなく、生徒が主体的にクラスごとに協力しながら、できるだけたくさんのお客さんが購入していただけるような商品の工夫をしたようです。特に2年生、3年生は藤まつりの経験を踏まえて、なるべく多くのお客さんに喜んでもらえるような商品を提供して売り上げをあげていこうという目標をもって、商品の調理、販売、告知、呼び込み、材料の仕入・管理、かたづけ、食器、調理器具の洗浄などそれぞれの役割の中で企画段階から熱心に取り組んでいました。私はそんな生徒の様子を観察しながら

今回の成功を確信していました。

 

 

自分が遂行した業務を喜んでくれる人たちのために働くこと、そのことにやりがいを感じてより喜んでもらえるために自己研鑽を図り努力することを経験のなかで体感することが、自然学園で行う学校行事の大きな意義だと思っています。

 

自然学園は体験授業を積極的に取り入れていますが、実際に行動として経験してみることで日ごろからSST(ソーシャルスキルトレーニング)で学んでいる「協調性」「協働」「トラブルがあったときの問題解決のスキル」「社会的な秩序における礼儀を踏まえた人に対する態度や言葉遣いなど社会性の育成」などは、実践で繰り返し学ぶ経験から般化できるものです。

 

模擬店などでお客さんに美味しいと感じてほしいと、思い考え企画して調理した商品をおいしいと喜んで食べてもらったうれしさが成功事例となって、今までの自身の行動の肯定につながります。そして自分の気持ちの中で対人関係のやり取りが落とし込めたときに、社会的に正しい行動の定着につながるものです。

 

3年生の塩焼きそばは、普段食べなれているソース焼きそばと違って、干しエビが塩味のアクセントになっていてあっさりしていてうまみがあり、後を引くようなしつこくない深い味わいのコクの深さを鉄板で焼いた麺とソーセージの風味が一体になった絶品でした。

2年生のもつ煮込みとごはんのセットもこれしかない究極の組み合わせのように感じました。以前、私の勤務地が新橋に近く、よくガード下のもつ焼き屋で職場の仲間と飲み歩いていましたが、そのとき食べた煮込みの味付けを思い出してしまいました。塩味風味の味わい深い煮込みのスープに新鮮な豚もつ、牛もつと大根、ニンジンが程よく溶け込んで、自然にごはんを口の中に頬張ってしまうおいしさです。またごはんは農業実習で手伝わせていただいた田んぼから収穫できた新米なので、ご飯だけでも新鮮な甘みとうまみが一粒、一粒に凝縮されています。生徒の皆さんと担任の先生が一緒に考えたそうですが、お客さんのよろこびそうな商品をよく考えたと感心しました。

 

売り上げも3年生が最も多く1年生が次に多い売り上げを記録しました。生徒の充実した笑顔に私もうれしくなりました。

時には「遅い!」「味が濃い」「味が薄い」などと怒られながら、効率的に安定した味が作れるように努力したことで、「ありがとう」「おいしかったよ」とお客さんから言っていただいたことの喜びや充実感は、社会に出るうえで貴重な経験になったと思います。それと同時にお金を頂くことの厳しさを肌身で体験できたのではないでしょうか。このような実践的な経験を積み重ねるなかで、自然学園の学校行事の一つひとつが、ソーシャルスキルを体得する場であり、「働くことの意義」「働くことは何か」を考え、答えを探していくキャリア教育になっていると思っています。

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