[高等部通信12月号]学園長より~可能性の扉~3

2021年12月6日

3、第13回自然学園思いやり収穫祭(模擬店、展示会)の報告

今年も、新型コロナ感染防止の対策で、今までのような調理したものを販売する模擬店は中止させていただき、一般のお客様のご来場は控えさせていただきました。

生徒の皆さんが、コロナ禍での制限の中、工夫を凝らして実施する模擬店は今まで以上に皆さんのアイディア、話し合い、チームワークといった高いグループワークが求められました。だからこそ、自然学園の生徒の皆さんの絆がさらに強いものになり、今までにない盛り上がりを見せてくれました。お客さんがいないことは残念ですが、苦労を共に経験した今回の思いやり収穫祭は深く皆さんの胸に残り、忘れられない思い出となることでしょう。

各クラスで出店した模擬店は、生徒が主体となってクラス毎に協力しながら、できるだけ安全に直に手に触れることのないように気を付け、唾液など飛沫がつかないよう細心の注意を払い、安心して口に運んでいただける商品の工夫をしたようです。2年生、3年生はなるべく多くのお客さんに喜んでもらえるような商品を提供して売り上げを挙げていこうという目標をもって、商品の調理、販売、告知、呼び込み、材料の仕入・管理、片付け、食器、調理器具の洗浄などそれぞれの役割の中で企画段階から熱心に取り組んでいました。2年生の商品力の高さ、お客さんに喜んでもらえるような商品の選び方や、3年生の商品企画と販売計画の立案力には圧倒されました。売り上げも3学年が他を凌駕していました。

自分が遂行した業務を喜んでくれる人たちのために働くこと、そのことにやりがいを感じてより喜んでもらえるために自己研鑽を図り努力することを、経験の中で体感することが、自然学園で行う学校行事の大きな意義だと思っています。

自然学園は体験授業を積極的に取り入れていますが、実際に行動として経験してみることで日頃からSST(ソーシャルスキルトレーニング)で学んでいる「協調性」「協働」「トラブルがあった時の問題解決のスキル」「社会的な秩序における礼儀を踏まえた、人に対する態度や言葉遣いなど社会性の育成」などは、実践で繰り返し学ぶ経験から般化できるものです。

それぞれの役割を誠実に遂行して、クラスメートと「ほう・れん・そう」(報告・連絡・相談)ができなければ、お客さんの注文を受けて調理を開始し、短時間で盛りつけまで手早く行い、接客担当者がお客様に料理をお届けする連携はできません。ビジネスマナーで必ず学ぶ敬語や「お待たせしました」「ありがとうございます」「申し訳ございませんでした」「承知いたしました」などの必須事項がここには全部含まれています。食品の調理には生徒にとって苦手な視空間的なワーキングメモリや言語的短期記憶など、認知的な処理を必要とする継次処理力や同時処理力がないと一連の作業が完遂しません。授業で学んだ作業スキルやソーシャルスキル・グループワークをおさらいして必死に苦手さと対峙した様子が垣間見られました。

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