高等部通信2月号 学園長ブログ~可能性の扉~-7

2023年2月28日

7、自然学園で実践しているサードステージとしての在り方

自然学園高等部に通うお子様方は、誰もが少なからず発達の凸凹を抱えています。そのため、離席や居眠り、または勉強以外に気が散ることのないように集中して授業が持続できる工夫が必要になります。その工夫として本田秀夫先生が著書で話している、一人ひとりのお子様にあったやり方で学習ができるような配慮です。

これらの工夫を考える前提として彼らの困難さの理解が必要になるわけです。困難さの理解には自然学園が掲げているアセスメントは必然的な要素ですが、アセスメントで最も大切な要素は、本田秀夫先生も提示している「保護者とのコミュニケーションと家庭との連携」だと思っています。保護者が本人の成育歴から感じている育てにくさや問題行動などの背景を一緒に考え、お子様本人が実際にできることを提案していくことが改善の第一歩になると思います。

彼らにある発達の凸凹の共通理解と、その凸凹を補う学習のアプローチの方法や課題の取り組ませ方の工夫、具体的なユニバーサルデザインなどを含めた学習環境や学習方法の共有が、彼らのつまずきの背景をより明確にし、効果的な支援の提示に繋がることは今までの経験からも間違えることのない事実です。よく耳にすることがあると思いますが、個別の支援計画とはこのことを踏まえた支援目標を明確化してそのことを実現させるための具体的な設計図のようなものです。

本田秀夫先生が述べるように、「家庭には家庭しかできない役割があり、学校には学校しかできない役割がある」と私は思っています。学校は集団で授業を受け、生活する場なので、最低限他の人に迷惑をかけないようルールがあります。学校に校則やルールはいらないという極端な意見もありますが、他者との協調性やグループワークなど社会で求められている必要最低限のソーシャルスキルを学習する場として、学校は必要不可欠な場所だと私は思っています。

学校の欠点は一人ひとりの特性に合った合理的な配慮やきめ細かいユニバーサルデザインを取り入れることには限界があるころです。そこでサードステージやサードプレイスが必要になってくるのです。

現在、盛んに使われるようになったサードステージとは、ファーストステージの「ユニバーサルデザイン」、そしてセカンドステージの「合理的配慮」を踏まえた上でのサードステージ「特別な場所での個別教育」のことを指します。通常級では障害のある子に特化した活動を十分に設定できない場合があります。自然学園高等部はサードステージとして、特別支援学校や通級および特別支援学校の役割を担う、発達のつまずきがある子どもたちの新しい学びの場といえると思います。

 

8、おわりに

 

「第8波」と言われる感染拡大は、高校生の年齢だとそれほど感染リスクは高くなく、また軽症で回復する場合が多いということですが、感染した場合には、家族の皆さんに迷惑が掛かることになります。ご家族に祖父母が同居している家庭は、重症化のリスクがあります。このようのことから気を抜かず、外出も控え感染対策をしっかりしてほしいと思います。そうでなくとも寒さから風邪をひきやすい時期なので感染防止対策とともに体には十分気を付けてください。

後期試験は、授業を通して身に付けた学習習慣が継続できるように、できるところ、やれる量を計りながら、無理せず、計画的に、少しずつスモールステップで勉強をすすめてもらいたいと思っています。そのことが継続できれば誰もが、「こんなことができるようになったんだ」「今までできなかった問題が解けるようになった」と実感できるように必ずなるでしょう。

彼らが学校や社会に適応していくための第一歩は、周りから受け入れてもらおうとする意志力だと私は思っています。その意志力は、このような、少しずつの自信の積み重ね、言い換えれば、成功体験の積み重ねから生まれるものです。このことを続ければ教科書やレポートの問題も必ず解けるようになることでしょう。大切なことは、どうせできないからやってもしょうがないという気持ちを持たないことです。そして自信を持って、今できることを一つ一つ積み重ねてください。

 

自然学園学園長 小林 浩

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