高等部通信2月号 学園長ブログ~可能性の扉~-4

2023年2月22日

4、発達障害があるお子様の学習意欲を上げるためには

 

知的には目立った問題がないこのような子どもたちが、勉強につまずく学年は3年生くらいからです。これは、教科書の内容もありますが、国語の文章も含めて教科書に書かれている文章量や語彙も含めた文章構成に複雑さが出てくるからです。他の教科も例外ではありません。授業に関しても、このように「読む、書く」の困難さを持ち合わせている人や、講義形式で大勢の人に向かって話されている内容を聞くことに困難さを持ち合わせている人は、継次処理が求められる講義形式の授業の参加自体に苦手さがあるのです。

聴覚的、または視覚的な手がかりを取り入れながら順序を踏まえて伝え考え、理解に結び付けることで、それを応用した発展的な処理を可能にする授業形式は、継次処理的なアプローチと言えると思います。継次処理は先述したようなつまずきを持った子どもたちは、学年が上がり、授業レベルが上がると自分の力だけでは処理できなくなります。

そのことを示唆するSOSが落ち着きのなさや離席、おしゃべりなどの多動性、衝動性となって表れてきます。そのSOSを授業妨害として先生から厳しく注意されることで学習意欲を喪失していきます。発達障害傾向の子どもたちに一度失ったやる気を取り戻させるのは困難です。こうして、クラスに居場所を無くし自己肯定感も低くなってしまいます。学習性無気力の子どもたちや、情緒が混乱して不安を抱えている子どもたちの原因の一つはこのようなことにもあるのです。

子どもたちがやる気を出すには、ここまで挙げてきた見えない彼らの学習のつまずきに気付き、学習におけるつまずきのある子どもが得意とする「わかり方」を周りの大人が把握することが大切だと思います。教える側の大人が、子どもたちの「なぜわからないか」を理解できれば、理解できるような教え方や教材、プリントなどを利用した授業を彼らのつまずきに合わせて提供することができます。そのような指導が実行できれば、必ず興味をもって学習に取り組むことができるようになるでしょう。その中で、できることが少しずつ増えていくはずです。子どもが学ぶ楽しさや達成感をたくさん経験することが大切になります。

そして最後は、親や教師が勉強を押し付けるのではなく、子どもが自分に合った「学び方」を身につけて、自分の意志で主体的に学習する習慣をつけることが、子どもたちの学習意欲を上げる唯一の近道なのです。これは、自分で判断し、自分の意志でやってはいけないことややるべきことなど物事の善悪を判断できる大人に成長することに繋がっていくのです。

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