[高等部通信3月号]学園長より~可能性の扉~1

2022年3月14日

1、はじめに

3月に入り新型コロナウイルス感染症の感染防止対策として公立学校の休校要請が発令されてから2年が過ぎようとしています。全国の高校生の皆さんはコロナ禍での休校や分散登校、リモート授業や動画配信など今までの学校生活では経験しなかったことに直面しています。それに伴い学校の先生方も緊急の時間割の入れ替えや調整、中止になった学校行事の代替えなど非常に忙しい状況下に置かれて、クラスや学校には緊張感が漂い、なんとなく居心地の悪さを感じていた人たちが少なくないと思います。このようなゆとりのない環境は生徒の不安やストレスを増大させ、学級崩壊や不登校の増加に結び付いていると言われています。昨年マスコミの発表でもあった中程度鬱症状がある生徒が全国の中学生で24%、高校生で30%という統計が立証されています。高等部1年生の皆さんの中には中学校でこのような環境から登校できなかった人も少なくないはずです。

今年で東日本大震災から11年目を迎えている被災地でも、物理的な復興は進んでいても精神的なショックから立ち直ることはまだまだ難しい状況です。人の心はそんなに簡単には立ち直れないのです。今回のコロナ禍で精神的に追い詰められている子どもたちが少なくないとしたら少しでも早く元気になるきっかけをつかんでほしいと思っています。その意味では昨年の4月からの新学期はとても重要な新年度の始まりであったと言えるでしょう。自然学園に入って1年生の皆さんが元気に登校している姿を目の当たりにすると、とても嬉しく思います。

今年は3月5日(土)が、暦の上では啓蟄(けいちつ)にあたります。

啓蟄という漢字は見慣れない字のように思われますが、啓は「開く」で、蟄は「虫などが土に隠れている様子」を表し、「暖かくなって生き物が土から出てくる時期」のことを意味しています。まだまだ寒い日が続きますが、日中は春の陽ざしに誘われて、外に飛び出していきたくなるような陽気の日もあります。そんな日中は、重いコートを脱いで、散歩に出かけてみると色々な発見があると思います。陽だまりに佇む軒下の間延びした猫の姿や、土手に咲くグレープヒヤシンスの淡い紫、さわやかな雲が連なる優しい光が澄みわたる水色の春の空など、普段見逃している風景が目に飛び込んできてわくわくした気持ちなります。そんな思いで桜の花が咲くのを待ちましょう。

これから三寒四温の陽気が続き春を迎えます。今年の春は冬のコート同様、今まで引きずっていた重い過去や嫌な思い出も脱ぎ捨てて、心を軽くしたらどうですか。そして少し新しい気持ちで4月からの新学期を迎えてください。不安や後ろ向きの気持ちのままでは現状は変わりません。期待に胸を弾ませる心にこそ春の風が希望を運んでくることでしょう。これからの1年がどのような学年になるかはあなたの気持ちの持ち方次第です。

まん延防止等重点措置の延長が発表され、高等学校では分散登校、リモート授業に切り替えた学校が多く、学校行事も中止になっています。自然学園高等部でも2月24日(木)に予定していたスキー教室を中止にさせていただきました。

高等部の皆さんは早く通常通りの生活に戻ることを誰もが切望しながら、新型コロナの感染防止対策として不要不急の外出を控え、3密対策や手洗い、うがいの励行にまじめに取り組んでいる人たちが多いように思います。現在は感染のピークアウトの兆しが見え徐々に感染者が減少しています。4月からの新年度は例年通りの学校行事が実施できることを期待しています。そのような状況も踏まえ、この1年を大切に、今までできなかったことを取り戻す勢いで精一杯頑張ってください。

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