[高等部通信3月号]学園長より~可能性の扉~①

2017年4月28日

◎卒業式に寄せて ~平成28年度 卒業式 式辞より~

本日巣立ちの日を迎えた高等部18名、大学部7名の皆さん、卒業おめでとうございます。
 
本日の式典に際し、星槎国際高等学校副校長の安東和美先生をはじめ、東京都ビジネスサービス副社長森島忠雄様、そしてたくさんの保護者の皆様のご臨席を賜り、誠にありがとうございます。
 
さて、今、皆さんに手渡した自然学園の卒業証書は、在籍中に履修した全ての学習を修了したという証だけではなく、卒業生の皆さんが社会に参加するうえで必要なスキルに関しても卒業認定を許可できる高い社会性を育んだ証になるものです。私たちは自信を持ってあなた方が巣立つ姿を見送ることが今日できます。こんな気持ちを抱かしてくれた卒業生の皆さんを愛しく思っています。卒業生の皆さんにお渡しした一人ひとりの卒業証書にそんな思いを込めました。

 自然学園は皆さんに社会に出て困らない社会的なスキルを学ばせることに力を入れています。そのために一人ひとりの障害に向き合う勇気を育ませることが必要になってきます。社会に受け入れてもらえることは、自分が社会に受け入れてもらいたいと意思を明確に相手に伝えることから始まります。その思いが一方的にならないためにも、自分自身でじぶんのつまずきを素直に認めることが大切です。それには勇気が必要なのです。
 誰でもそうですが自分の欠点を素直に認めることができません。その欠点を指摘されるとほかの誰かを批判したり、やり方や環境のせいにして自分を守ろうとします。中には自分自身で自分の欠点に向き合うこともしない癖に自分の障害を言い訳にして対応の悪さを批判するような人もいます。

2006年に国連総会で採択された、「障害者の権利に関する条約」(通称、「障害者権利条約」)という国際条約の第2条に「障害のある人に必要な配慮を、出来るのにやらないことは、差別である」とういう意味の内容が定義されています。日本はその条約を批准するために昨年四月、障害者差別解消法と言う法律を制定しました。これにより、合理的配慮の提供義務を含めた、障害のある方の権利が保障されました。

このことにより発達障害がある人もそのつまずきに対する合理的配慮が教育においても職場においても受けられるようになりました。配慮と合理的配慮のちがいは何かと言うと「配慮」は一方的であり、情緒的なあいまいさがあるのに対して「合理的配慮」は双方向性にともなう合理的な明確さが前提にあるので配慮を受ける側は、自分自身のつまずきを自分でも把握して苦手なことやできないことの対処方法を明確に相手に伝え、「配慮の合理性」において配慮する側の合意が不可欠になります。

そのためには、勇気をもって自分のつまずきと向き合い、このようにしてもらったら、自分はこの環境に適応でき、この仕事を通して会社に対して貢献できる言うビジョンを示せる能力が合理的な配慮を受ける側にも必要になってきます。自然学園では高等部、大学部の教育活動を通して取り組んでいることはこのスキルの育成に結びついてくることなのです。

(続く)

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