高等部通信 学園長ブログ~可能性の扉~-2

2023年7月10日

2、この時期の不安の強さについて

新学期に入りましたが、先述したような環境で落ち着かない人たちがたくさんいると思います。初めに記述しましたが、今年は春の三寒四温と言われる寒暖差が特に激しく、4月上旬にも関わらず25度の夏日になったかと思うと、次の日には真冬の寒さに逆戻りといった気候に体が悲鳴を上げ、体温調節ができず自律神経が乱れ、疲れが回復しない、体がだるい、眠気が抜けない、頭が痛いなど「春バテ」と言われる体調不良が出やすくなりました。「春バテ」のもう一つの原因と考えられるのが環境の変化です。新年度を迎え、進学や就職などで環境が大きく変化し、その不安やストレスから疲れを感じやすくなるといいます。

4月に入学した新入生の皆さんの中には、新しいクラスの環境に慣れるまでに時間がかかり、強い緊張や不安を感じる毎日を過ごしていた人たちも少なくないでしょう。加えて、GWの長い休みで生活リズムや学習習慣が乱れて、その後も怠惰な生活を送ってしまうお子様もいらっしゃるのではないかと心配しています。家庭にいる時間が長ければ長いほど、クラスになじめなかったり、いじめをうけたり、先生になじめなかったりした過去の嫌な思い出がフラッシュバックして不安を募らせていた人も多いと思います。毎年夏休み明けに自殺するお子様が多いと言われているように、学校に対する不安が強ければ強いほど長い休みの間にその不安は増大します。ましてこの春先の気候と重なって不安定になりやすい要素が多くなっています。

精神科医によると、1年で一番精神的に不安定になりやすい時期は5月から6月にかけてだそうです。ゲームなどに夢中になって睡眠時間が一定でないなど生活リズムが乱れているような人や、先生や同級生などから言われた一言が気になっていつまでも悩んでしまう人、完璧主義な傾向がある人、運動会での練習中のちょっとしたつまずきや勉強、宿題の提出など、自分に自信がなく劣等感が強いことが非常に大きな精神的ストレスになってしまい、情緒の混乱、自律神経の乱れ、体調不良につながることも少なくありません。発達障害傾向がある人たちはこれらの症状が出やすいのです。不登校や学校への行き渋りのきっかけはこのようなことから始まります。自律神経の乱れは睡眠不足につながるのです。発達障害のあるお子様は、このような状況で二次障害が起こりやすいお子様方なのです。

また、前回「おすすめ図書」で紹介した【「発達障害」と間違われる子どもたち】に記載されている「発達障害もどき」と思われる「発達障害の診断はつかないのに発達障害と見分けのつかない症候を示している状態」の子どもたちが増えていると挙げさせていただきました。この著書には「発達障害もどき」の子どもたちは、昼夜逆転した生活の中でゲームやSNSなどに依存した状態に陥り生活習慣が乱れた生活を続けていると、脳の発達のバランスが悪くなり、発達障害と診断がなくても発達障害のお子様と同じような症状が表れる場合があるとお話しさせていただきました。心身のバランスの鍵を握るのは「セロトニン」と言われる脳内ホルモンで、しあわせホルモンと呼ばれているそうです。

緊張やストレスなどの負担がかかると脳からセロトニンが分泌され、他のノルアドレナリンやドーパミンの働きを制御し、自律神経のバランスを整えようとします。セロトニンの分泌量が減り、働きが制限されると、心身のバランスが乱れます。セロトニンが正常に分泌されるためには規則正しい生活習慣を心掛けることが大切になります。ですから、朝の起床と夜の就寝時間が睡眠時間や睡眠の質に影響し、心身のバランスを整えることに繋がります。

規則正しい生活がセロトニンのみならず、それぞれのホルモンがきちんと分泌され、作用してバランスよく働くことになるのです。

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