高等部通信4月号 学園長ブログ~可能性の扉~-5

2023年5月25日

6、発達障害があるお子様の学習意欲を上げるためには

知的には目立った問題がないこのような子どもたちが勉強につまずく学年は、小学校3年生くらいからです。学習内容が難しくなるのも要因の一つですが、国語の文章も含めて教科書に書かれている文章量や語彙も含めた文章構成が複雑になってくるからです。他の教科も例外ではありません。

このように「読む、書く」に困難さを持ち合わせている人や、講義形式等の大人数に対する先生の話を聞くことに困難さを持ち合わせている人は、継次処理が求められる講義形式の授業の参加自体に苦手さがあるのです。先述のようなつまずきを持った子どもたちは、学年が上がり授業レベルが上がると自分の力だけでは処理できなくなります。そのため授業では、聴覚的、視覚的な手がかりを取り入れながら順序を踏まえて伝え、考え、理解に結び付けるような「継次処理的なアプローチ」が重要になります。

子どもたちからのSOSは、落ち着きのなさや離席、おしゃべりなどの多動性、衝動性になって表れてきます。そのSOSを、先生に授業妨害として厳しく注意されることで学習意欲を喪失していきます。発達障害傾向の子どもたちが一度失ったやる気を元に戻すのは難しいです。そして同時に、クラスに居場所を無くし自己肯定感も低くなっていくことが多いです。学習性無気力の子どもたちや情緒が混乱して不安を抱えている子どもたちの原因の一つはこのようなことにもあるのです。子どもたちがやる気を出すには、このような見えない彼らの学習につまずきに気づき、学習におけるつまずきのある子どもの得意な「わかり方」を大人が把握することが大切だと思います。教える側の大人が、子どもたちのなぜわからないかが理解できれば、理解できるような教え方や教材、プリントなどを利用した授業を彼らのつまずきに合った学習課題で提供することができます。そのような指導が実行できればかならず興味をもって取り組むことができるようになるでしょう。そのなかにできることが少しずつ増えてくはずです。子どもが学ぶ楽しさや達成感をたくさん経験することが大切になります。

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