[高等部通信5月号]学園長より~可能性の扉~②

2016年4月1日

5月は、気持ちが不安定になりやすい時期で「5月病」という言葉が一般的になっているくらいです。

「5月病」というと新入社員のサラリーマンや大学生の新入生などにみられる、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状を指していました。ゴールデンウイーク明け頃から毎日の生活にやる気をなくしてしまう状態が続くことで、医学的には適応障害や気分障害、鬱(うつ)と診断される症状です。

最近は、中学生、高校生ばかりではなく小学生、幼児への低年齢化が進んでいるようです。先ほど述べたように高等部の生徒の場合、発達のつまずきが起因して、元来、2次障害と言われる精神的な不安定さや不登校などの問題行動が伴いやすい特色があります。

症状としては、いらいらすることが多くなったり、学校に行くことが億劫になったりすることがあります。「不安」「焦り」「憂鬱さ」が強く感じるようになることもその一つです。

朝、なかなか起きることができない、夜眠れない、食欲がない、頭痛、めまいなどを頻繁に訴えるようになったら要注意です。

タイプ的に言うと真面目で完璧主義的な性格で、自分で早く環境に適応したいと頑張る気持ちが強い人ほど、期待していた新生活のギャップに落ち込んだり、必要以上に頑張りすぎて緊張が強くなり、モチベーションが継続できなくなる傾向にあるようです。

「高校に入学したから休まず登校しよう」、「学年が進級したので勉強を頑張ろう」と思って必要以上にやる気になっている生徒や、新しい環境に慣れずにいまだに緊張状態が継続している生徒は特に要注意です。近年、高校生の不登校生が少しずつ増加しているという統計が出ています。やはり、進路に対しての不安や人間関係など学校生活において必要以上のストレスがかかり精神的な負担が強くなってくると、前記したような心の不安定さが精神的なバランスを崩し、生活習慣が乱れ心身症的な症状としてあらわれ、不登校に結びついてくるのです。発達障害がある子どもたちはそのバランスを崩しやすいと言われています。

新入生は、初めての学力試験が夏休み明けすぐの9月の第2週目にあるので、レポート学習を授業で始めたばかりの現在に時点で、すでに相当緊張している子どもたちが多いと思います。高等部の生徒は、勉強が苦手だと意識している人たちが大半を占めているでしょう。そして「テスト」「試験」と名がつくものが、小学校低学年の時からとにかく大嫌いで、人と較べられたり、叱られたりした苦い思い出がトラウマ的になっている人ならなおさらです。人に評価されるならレポートも出したくないと言っている生徒もいるくらいです。

学年が上がり、高校3年生になってくるとクラスの子どもたちの話題も就職や大学受験にシフトして、大学の推薦基準やAO入試、推薦入試の話題や、予備校での模擬試験や個々の成績の話題、または体験就労実習の話題が多くなってきます。ホームルームでも進路についての担任の先生の話を頻繁に聞くことが多くなります。もちろん家庭でも食卓でも進路の話題が上ってくるでしょう。

LD傾向が伴う発達障害の子どもたちは、学力不振の悩みを抱えているので、精神的な負担や焦りが大きくなってきます。強迫観念的な気持ちが心の中を支配するようになってきます。それに追い打ちをかけられるようにレポートなどの学習課題、宿題に費やされる時間や放課後の予備校、試験勉強など割かれる時間が多くなると、精神的にもゆとりがなくなり、余計に不安定な気持ちに拍車がかかってきます。

(つづく)

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