[高等部通信6月号]学園長より~可能性の扉~②-1

2017年7月7日

2.ふじ祭りとキャリア教育の実践

4月23日(日)の藤まつりでは、今年も自然学園の玄関先で生徒による模擬店を出店させていただきました。1キロメートル以上にわたり、満開の藤棚が並ぶ藤通りに沿ってさまざまな模擬店が連なり、通りではパレードや趣向を凝らしたイベントで盛り上がり、春日部の市民にとっては、毎年待ちに待ったお祭りが「ふじまつり」なのです。
 綺麗に咲き誇る藤棚が目の前に見える藤通りに面している自然学園では、4年前から校舎の前で模擬店を出店させていただいています。今年は今まで一番の人出であったと聞いています。

高等部の生徒と大学部の学生の皆さんは、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)のカリキュラムの一環として、自分たちで考えた模擬店を出店し、自分たちの手で販売を行い、利益を得る擬似的な起業体験を模擬店の出店をすることで体験することができました。

一般の人たちがお客さんになるわけなので、価格に見合ったサービス提供がなければ、お客さんはこちらが提供する商品を買ってくれません。しかも多くのお客さんが、列を作ってまで購入していただけるので、できるだけ早く商品をお客さんに届けなければいけません。

必然的に自分でまかされた役割を責任もって遂行し、他の役割を任され人たちとも協力しながらできるだけ早く商品を届けることにクラスの全員が同じ目標を持って取り組むことが義務付けられるのです。非常に高いソーシャルスキルが必要になります。
自分のやり方にこだわり、他者を意識しない自分本位の振る舞いをしていたらお金を頂いたお客様に怒られてしまいます。喧嘩なんかもってのほかです。自分だけ休むことも列に並ぶお客さんから見れば許されないことです。

しかしながらこのことこそが仕事の現実なのです。このことに関して言えば合理的配慮はしてもらえません。これこそが就労を目指す生徒の皆さんにとって大きなハードルになり、乗り越えなければならない壁となります。このことに対応できるスキルを習得できなければ、企業就労は現実として無理なのです。

お金を稼ぐことがどういうことなのかを身を持ってお客さんに教えてもらうことが、この活動に参加してもらう意義です。アルバイトをしている人もいますが、高校生のアルバイトを雇用しているコンビニエンスストアーやファーストフード店などはマニュアル化された高校生でもできる役割をその範囲内でこなすことができれば、組織の中の歯車として機能します。それほど自分で考えて臨機応変な対応を求められることはないでしょう。きめられた言葉づかい、マニュアル化されたルーチンワークを着実にこなすことで要求された業務の責任を果たすことができます。

(続く)

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